兜のささやき兜のささやき

第228話 「2050年までに脱炭素社会」 日本に水素社会到来へ

2020.11.11

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、霞が関周辺のカフェで投資談義をしているようです。


T:菅新政権が誕生して初の国会が始まりましたね。10月26日には総理による所信表明演説が行われました。

神様:Tさんは演説のどんなところに注目しましたか?

T:いろいろありましたが「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言したことは大きな話題となりましたね。

神様:やはりそこに注目しましたね。この前もお話をしました (第220話 気候変動問題 世界で進む「脱炭素化」日本の今後は?) が、現在国際社会では、「パリ協定」の下に「今世紀末時点での世界の平均気温の上昇幅を、産業革命前から2度未満に抑える」という目標を定め、「脱炭素社会」を掲げています。日本の首相のこの宣言は世界からも評価されているようです。

T:省エネの徹底、再生可能エネルギーの導入のほかに、原子力政策を安全最優先で進めることも述べていました。このあたりは今後の議論を呼びそうですね。

神様:脱炭素社会を実現するためには、石炭火力発電を減らさなければなりません。現時点では原子力の活用が有力であると考えているのでしょう。さて、二酸化炭素を排出しない新たなエネルギー源として注目されているものがありますが、何だと思いますか?

T:水素ですね!

神様:その通りです。水素は、利用時に二酸化炭素が発生せず、製造時に再生エネルギーを利用すれば、製造から利用まで全体で脱炭素が実現できます。

T:水素エネルギー関連企業にとっては、これから盛り上がるきっかけになりますね。

神様:矢野経済研究所によると、国内における水素エネルギーシステム市場について、2020年度は952億円を見込み、2050年度には3兆7,940億円に拡大すると予測しています。家庭用の水素燃料電池(FC)や水素燃料電池自動車(FCV)など、一般向けの水素燃料が広がると見込まれています。

T:水素燃料電池自動車はすでに発売されていますし、水素ステーションも2020年8月現在で国内に157か所が運用されているそうですね。今後はトラックやバス、船舶、航空機など、脱炭素が難しい分野にも技術革新が進んで水素エネルギーが活用されていくのだろうと思います。

神様:大型輸送機器は、性能や運用面で水素燃料電池と親和性が高いとされる面もありますから、普及を期待したいところです。ところで、Tさんは水素ステーションが最も多い都道府県はどこだと思いますか?

T:やはり東京でしょうか?

神様:いいえ、愛知県です。

T:意外に感じましたが、なるほど愛知県は自動車産業が活発ですよね。県民による自動車の活用も活発だと聞きます。

神様:また愛知県では自治体でFCVの普及を目指しているほか、「水素ステーション整備・配置計画」を策定しています。計画では2025年度末までに100基の水素ステーションの設置を目標としています。

T:2020年8月時点で30基強ですから、あと5年で70基近くを設置するということですね。これを機に、水素ステーションの設置、水素関連ビジネスが拡大することを期待したいですね。

神様:日本に本格的な「水素社会」が到来することを期待したいですね。

(この項終わり。次回11/18「コロナで苦境のエンタメ ライブはデジタル配信時代へ」掲載予定)

投資・相続のご相談は
いちよし証券へ

全国の店舗にて、お客様の資産運用や相続についてのご相談を受け付けております。
お客様の人生設計に寄り添いながら、最適なご提案を行います。

PAGE TOP
PAGE TOP