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第357話 巣ごもり特需超えたインスタント麺市場 さらに拡大続く?

2023.07.12

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、海の見えるカフェで食事をしながら投資談義を行っています。


神様:前回は日本の食、特にお菓子業界について見ていきました。今回は日本の食の中でも世界に誇れる存在と言っていい「インスタントラーメン」業界を取り上げたいと思います。

T:インスタントラーメンと言えば、日本発祥の食ですからね。

神様:インスタントラーメンが誕生したのは1958年。日清食品の創業者である安藤百福氏によって開発されました。その後は爆発的な売れ行きを見せ、「インスタント」という言葉が流行語になるほどの一大ブームを築くまでになりました。

T:インスタントラーメンは戦後の復興から高度経済成長へ向かう中で登場したのですね。当時の誕生物語を読むと興味深いです。

神様:実は今、インスタントラーメン市場が伸びています。日本即席食品工業協会調べによれば、2022年度の国内即席麺生産量は59億9,141万食となりました。これは前年と比べて1.8%の増加となり、2年ぶりに過去最高を更新しました。

T:コロナ禍の巣ごもり特需でインスタントラーメンが人気( 第239話 コロナ禍で続く巣ごもり消費 カップ麺・袋麺が高い人気 )だったと思いますが、それを超えたということでしょうか?

神様:おっしゃる通りです。これまでの最高記録は、2020年度の59億7,523万食でした。2022年度はそれを上回る年となりました。

T:意外ですね。要因は何でしょうか?

神様:最近の物価高にあると考えます。インスタントラーメンも各種コスト上昇により2022年6月には価格改定が行われました。さらに夏の猛暑もあり、市場にとっては逆風とも言える状況でした。しかし、秋冬以降で食品全般の価格が上昇する中、インスタントラーメンの手軽さやコストパフォーマンスの高さが支持され、このような結果になったとみられます。

T:なるほど。最近のインスタントラーメンはおいしいですからね。家計の味方にもなっていますね。

神様:ところで、2022年の世界のインスタントラーメン消費食数で見ると、日本は実は第1位ではなく第5位です。1位はどこだと思いますか?

T:え、そうなのですか?だとすると1位は、人口が多い中国でしょうか?

神様:正解です。世界ラーメン協会の推定によると、1位は中国・香港で実に約450億食、2位がインドネシアで約142億食となっています。その後ベトナム、インドと続きます。世界全体では約1212億食でした。

T:中国は消費量が圧倒的ですね。

神様:ちなみに国ごとの1人あたりの消費量で見ると1位はベトナムです。日本は6位となっています。このように、インスタントラーメンの消費食数や1人あたりの消費量が多い地域はアジアです。今後はさらに経済成長とともに人口が増加していきますから、さらなる消費拡大が期待できるでしょう。

T:使い方の広がりもありますね。日本では最近、災害時の非常食としても注目されています。

神様:その通りです。通常はお湯で3分から5分間など温めて食べますが、お湯が手に入らない場合は水で代用して食べることも可能です。また、緊急時にカップラーメンのような食べなれた食事をとることで、被災者がほっとすることもできます。今年も大雨災害が多発していますが、今後ますます非常食用途としての活躍が見込まれるでしょう。

T:今後も世界的に需要が拡大していけば、インスタントラーメン市場の未来は明るいですね。関連企業の活躍の場の広がりに期待したいと思います。

(この項終わり。次回7/19掲載予定)

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