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第386話 増える「花粉症」原因は?花粉対策の企業にはチャンスも

2024.02.14

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、下町にあるお寺の境内を散歩しながら投資談義を行っています。


T:今年は暖冬だそうですね。梅の花もいつもより早く咲いているようで、平年より2週間も早く咲いているとの報道もあります。

神様:花粉も早く飛散し始めているようですよ。Tさんは花粉症ですか?

T:花粉症です。これから辛い時期に入りますね。

神様:それでは、今日は花粉症に注目しましょう。1月17日、東京都は東京都花粉症対策検討委員会を開催し、都内の2024年春のスギ・ヒノキ花粉に関する飛散予測などを行いました。今年は2月上旬から飛散を開始し、飛散する花粉の量は例年並みとなる見込みです。

T:もう花粉が舞っているわけですね。量は例年並みですか。

神様:東京都の飛散予測資料で、例として葛飾区を見ると予測値が4,600~6,200となっています。過去の数値では2023年は5,680、過去10年平均では5,164でした。

T:昨年と同じ程度という感じですね。しかし、花粉症の人は年々増えているような気がするのですが、実際のところはどうなのでしょうか?

神様:増えていると考えて良いでしょう。日本で花粉症の発症者がどのくらいいるのか、正確な人数はわかっていません。環境省の「花粉症マニュアル」によると、全国の耳鼻咽喉科医師とその家族を対象にした全国調査では、花粉症の有病率は増加傾向にあることがわかっています。また、花粉症の有病率は1998年では19.6%でしたが、2009年は29.8%、2019年は42.5%まで上昇しています。

T:増えている原因は何でしょうか?スギの木が増えているからですか?

神様:様々な要因が挙げられています。「花粉症マニュアル」によると、飛散する花粉数の増加はもちろんですが、食生活の変化、腸内細菌の変化、感染症の減少、さらには空気中の汚染物質や喫煙、ストレスの影響、都市部における空気の乾燥なども要因として挙げられています。

T:いろいろあるんですね。逆に言えば、決定的な要因はわかっていないとも言えますね。科学的にはまだ不明な点も多いのでしょうね。

神様:おっしゃる通りです。最近では若年層の花粉症発症者も増えています。政府では花粉症発症者の増加を社会問題と捉え、昨年から「花粉症に関する関係閣僚会議」を発足し、対策を進めています。

T:対策と言うと、スギの木を切るとかでしょうか?

神様:(1)花粉の発生抑止、(2)飛散予測、(3)治療の3つを柱とし、30年後に花粉発生量を半減させる目標を掲げています。スギ人工林については、10年後に2割ほど減らす計画です。

T:なるほど。しかし、花粉はスギやヒノキだけではありません。5月前後にはイネ科の花粉、秋にはブタクサやヨモギの花粉もありますし、花粉が飛散するのは1年中と言ってもいいでしょう。食生活の変化や空気の汚染などが原因だとすると、全ての花粉症に対して根本的な対策を打つのはなかなか難しそうですね。

神様:そうかもしれません。しかし、見方を変えると花粉症対策に対するニーズは強くなると言えます。投資の観点からは、医薬品はもちろんですが、花粉のつきにくい繊維や空気清浄機などの関連企業にも注目することができます。また、対策としては室内に花粉を持ち込まないことも大切であることから、在宅勤務など、春先の働き方にも影響を与えることも考えられます。

T:なるほど。花粉の量、花粉症の発症数が上昇していく中、花粉症対策の関連企業にとってはチャンスと言えますね。注目しましょう。

(この項終わり。次回2/21掲載予定)

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