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第387話 世界の人に十分な水を!水不足問題で活躍する企業とは?

2024.02.21

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内の喫茶店でコーヒーを飲みながら投資談義を行っています。


T:ここの喫茶店のコーヒーは“良い水”を使っていて、とてもおいしいですよ。

神様:確かにおいしいですね。ところでTさん、”良い水”とはどんな水のことでしょう?

T:そう聞かれると困りますが、自然豊かな場所の天然の水ではないでしょうか?

神様:なるほど、そうですね。世界では「良い水」を一言で言えば「安全な水」ということになります。

T:安全な水ですか。

神様:SDGs(持続可能な開発目標)では、6番目に「安全な水とトイレを世界中に」を目標として掲げています。2030年までに、すべての人々が安全で安価な飲料水を利用できるようになること、誰もがトイレを利用できるようになることなどを目標に、水資源の確保、衛生的で安価な水の確保を目指しています。

T:なるほど。そう言えば、以前も「水資源」についてお話しましたね( 第231話 世界の「水問題」は誰の問題か?「仮想水」とは )。実は日本も水資源が豊富ではないことに驚いた記憶があります。

神様:では、質問です。地球上の水の量を「浴槽1杯分」とすると、河川や湖沼など、人が利用しやすい水はどのくらいの量があると思いますか?

T:地球上の水の多くは海水ですよね。人が利用しやすい水は風呂桶1杯分くらいでしょうか。

神様:大さじ1杯分です。

T:大さじ1杯ですか、少ないですね。

神様:国連開発計画(UNDP)によれば、人が利用しやすい全水量は世界の人に対しては十分だということです。しかし、同時に国によって流入量や水資源の分配に大きな差があることを指摘しています。

T:つまり、地域によって豊かな水資源がある場所とそうでない場所があるということですね。そうすると、水が足りない地域が出てくると。

神様:その通りです。今後、世界人口は増えていきますから、食料や燃料と同様に水資源もすべての人に行き渡らない可能性が高まっています。

T:世界人口は2022年に80億人を上回りました。2080年代には104億人に達すると予想されています。2030年までにすべての人に安全な水を、というSDGsの目標は、非常に厳しい達成目標であることが分かりますね。

神様:水資源問題には様々な要因が複雑に絡まっています。水不足要因の1つに、地球の砂漠化があります。砂漠化は、気候的要因や人的要因によって土地が劣化し、植物が生育できない土地に変化することを指しますが、当該地域の問題だけでなく、移民問題や水資源をめぐる衝突・紛争へも発展する可能性をはらんでいます。そうなれば、社会情勢の不安につながる可能性もあるでしょう。

T:水は命に直結する問題ですから、今後水をめぐる争いが起こる可能性は十分にありますよね。やはり解決しないわけにはいきません。

神様:また、開発途上国では下水や工業用水が処理されずに排出される場合も多くあります。そうなれば、利用可能な水資源も汚染されてしまいます。

T:これらの問題に対して、どのような有効な解決策があるのでしょうか?

神様:安全な水を供給するために、海水を淡水化する方法があります。特に海水を浸透圧以上に加圧して半透膜に供給することで淡水を生産する「逆浸透膜法(RO)」と呼ばれる方法は、エネルギー効率が高く海水淡水化プラントを提供する多くの企業が採用しています。一方で海水を淡水化するには多くのエネルギーが必要となります。今後はより省エネルギーや低コストの実現が求められるでしょう。日本には、海水淡水化の技術を持った企業が多くあります。今後の活躍に期待しましょう。

(この項終わり。次回2/28掲載予定)

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