兜のささやき兜のささやき

第409話 2024年訪日客数、過去最高に インバウンド消費に期待

2024.07.31

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、山間にあるそば屋で冷たいそばを食べながら投資談義を行っています。


T:7月22日は暦の上で「大暑」でしたが、各地で名前の通りの猛暑日となりました。都心のヒートアイランドから離れて緑豊かなところへ来ると、幾分涼しく感じるように思えます。

神様:連日外に出るには危険な暑さが続いています。日本の気温は100年間で1℃以上、上がっているという話がありますが、最近の高い気温はそれ以上に温度が上昇しているように感じますね。

T:本当に、毎日ものすごい熱気です。

神様:熱気と言えば、大いに盛り上がっているものがあります。インバウンド消費です。日本政府観光局(JNTO)が7月19日に発表したところによれば、2024年6月の訪日外国人客数は3,135,600人(推計値)となりました。これは過去最高となります。

T:過去最高ということは、コロナ禍前の2019年を上回っているのですか?

神様:2019年と比較すると、今年は2月以降で常に上回っています。2024年上半期の累計では17,777,200人となり、過去最高を記録した2019年より100万人以上増加しています。

T:それはすごいですね。

神様:なかでも注目されるのがインバウンド消費で、こちらは2023年から大きな効果が表れています。2023年の訪日外客数は、2019年と比べると21.4%減となる2,506万人でした。しかし、一方でインバウンド消費額では2019年より10.2%増となる5兆3,065億円でした。日本での滞在日数が比較的長い米国などからの客数比率が高まったこと、円安効果などが要因で、1人当たりの消費額が増えたことがわかります。

T:円安効果は大きいのでしょうね。ホテルの料金など、インバウンド需要で高騰していますが、それでも割安感が感じられるのでしょうね。今から2024年のインバウンド年間消費額がどれだけ増えるのか楽しみです。

神様:費用別の旅行消費額を見てみましょう。Tさんのおっしゃる通り、宿泊費の比率が大きく上昇し、消費額の増加に貢献していることがわかります。しかし、これは宿泊料金だけが要因ではなく、滞在日数が延びていることも大きな要因のようです。

T:なるほど。やはり日本食は引き続き人気なのでしょうか?

神様:はい。これまでと同様に、宿泊費の次に消費額が大きいのが飲食費です。買い物などのモノ消費よりも、飲食や娯楽サービスなどのコト消費が好まれる傾向は変わりません。

T:先日の報道で、岸田首相が国立公園に高級リゾートホテルの誘致を進めることを表明したことが話題となりました。これもコト消費の一つですよね。

神様:現状では、訪日外国人客は都市部に集中しています。持続可能な観光を推進するためにも、今後は地方への誘致が必須です。首相は7月19日に開催された観光立国推進閣僚会議で、「地方への誘客促進」と「オーバーツーリズムの未然防止・抑制」に取り組むことを重点的な課題として挙げました。国立公園の魅力を向上させる取り組みも、その中の一つです。観光庁では、国立公園での滞在体験の魅力を向上させる取り組みが進められています。

T:訪日客が”本物の日本”を求めて地方を訪問し、国立公園などを拠点として長期滞在を行う中で、日本ならではの体験を積み重ねる。なるほどオーバーツーリズムの解消にもなりますし、地方も潤い、訪日客の満足度も向上するとなれば、地方の国立公園の整備に力を入れるのも頷けます。

神様:そのためには、魅力がしっかりと伝わるような情報発信や交通手段の確保も重要でしょう。いずれにしても、2024年のインバウンド消費はこれまで以上に大きく盛り上がりを見せると予想されます。宿泊やコト消費に関わるサービスを提供している企業にとって、これは大きなチャンスです。一方で、現在の観光課題にどのように取り組むかを見ることも忘れてはいけません。

T:2024年をピークとするのではなく、観光事業が今後も持続的に成長していくために、今何ができるかを考えることも大事ですね。今後の成長が楽しみです。

(この項終わり。次回8/7掲載予定)

投資・相続のご相談は
いちよし証券へ

全国の店舗にて、お客様の資産運用や相続についてのご相談を受け付けております。
お客様の人生設計に寄り添いながら、最適なご提案を行います。

PAGE TOP
PAGE TOP