第418話 アニメや映画で高い評価 世界で注目高まる日本の放送コンテンツ
株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内にある神社の境内を散歩しながら投資談義を行っています。
T:猛暑もようやく和らぎ、秋らしい気候になってきました。秋は昔から読書の秋、芸術の秋などと言われます。過ごしやすい気候の中で、ゆっくりと何かに取り組むことができる機会がとても貴重な時間に思えます。
神様:秋の夜長、Tさんは読書をして過ごすのですね。映画はいかがですか?
T:映画もいいですね。そう言えば最近、日本産のアニメや映画が世界で注目される機会が増えているように感じます。今年3月には、宮﨑駿監督作品の「君たちはどう生きるか」がアカデミー賞長編アニメーション賞を受賞しました。また、日本産ではないですが、9月には俳優の真田広之さんが主演した米国の配信ドラマ「SHOGUN」がエミー賞で18冠を獲得して話題になりました。一体何が起きているのでしょうか?
神様:ドラマ「SHOGUN」は、英語より日本語でのセリフが多く、日本語のセリフには英語字幕が付いたことも話題となりました。最近はインターネットでの動画ストリーミング配信サービスにより、世界中の映画やドラマを観ることができるようになりましたし、日本の作品もテレビの垣根を越えて世界中の人々に向けて配信することが可能になりました。放送コンテンツにおける大きな変化が起きていると言えるでしょう。
T:ドラマ「SHOGUN」が受け入れられたのも、日常で観られるコンテンツが多様化したことが影響しているようですね。これは、今後ますます日本発のコンテンツが注目されるチャンスですね。
神様:おっしゃる通りです。日本発の放送コンテンツはアニメを中心にすでに世界中にファンが多いですが、今後さらなる拡大が期待できそうです。総務省の調べによると、日本の放送コンテンツの海外輸出額は、2022年度は前年度比で15.3%増となる756.2億円に達しました。2014年以降で輸出額は右肩上がりで増加していましたが、コロナ禍以降では伸び率が増加していることが分かります。
T:日本発の作品がより幅広く世界に知られることで、日本の魅力を海外に伝えることができ、また日本への関心にもつながりますね。訪日客のさらなる増加も期待できそうです。
神様:総務省が公表している「放送コンテンツの海外展開に関する現状分析」では、日本の放送コンテンツの海外展開について詳しく分析しています。ここでは、今年の4月に公開された最新版を見てみましょう。まずTさん、「放送コンテンツ」とは、何を指すかご存知ですか?
T:番組放送権やインターネットで配信する権利、それからアニメキャラクターなどを商品化し、海外で販売する権利などでしょうか。
神様:その通りです。その他にも、放送番組をビデオ・DVD等の記録媒体にパッケージ化して販売する「ビデオ・DVD化権」やオリジナルの放送番組をリメイクし、海外で番組を制作して放送する「番組フォーマット・リメイク権」といったものもあります。2022年度の放送コンテンツ海外輸出額の中で、最も大きな割合を占めたものは何だと思いますか?
T:アニメキャラクターなどの商品化でしょうか?
神様:正解です。アニメなどのキャラクターを商品化、またはゲーム化して海外で販売する権利を商品化権と呼びますが、全体の40.1%を占めました。次に割合が大きいのはインターネット配信権で35.5%。その次が番組放送権で19.7%。この3つの分野が海外輸出の大きな部分を占めています。
T:コンテンツのジャンルでは、やはりアニメが圧倒的に多いのでしょうか?
神様:はい。輸出の大部分をアニメが占めています。近年はさらに増加傾向です。日本のアニメは完成度が高い作品が多く、ジャンルも幅広く、子どもだけでなく大人も楽しめる作品が豊富です。多くの作品が海外でも高い評価を獲得しています。
T:世界に知られていない名作がまだまだたくさんあることを考えると、この先が楽しみです。アニメだけでなく、冒頭で話したドラマや映画なども、今後の認知の拡大が期待できそうですよね。どのように世界に展開していくか、これからが大事ですね。
神様:日本の企業では、楽曲やアニメなど様々な分野で豊富な知的財産を持っているケースがみられます。政府によるコンテンツ産業の国際競争力強化への取り組みも後押しする中、放送コンテンツ関連企業にとっては大きなビジネスチャンスです。今後の展開に注目しましょう。
(この項終わり。次回10/9掲載予定)
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