第419話 変わる介護・伸びる「訪問看護」 体制強化待ったなし
株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、海の見えるカフェでコーヒーを飲みながら投資談義を行っています。
T:10月に入り、2024年も残り3カ月を切りました。1年あっという間ですね。
神様:政界では、岸田総理から石破総理にバトンが渡され、10月27日には衆議院総選挙の投開票が行われる予定です。これまで、衆議院の解散から投開票日までの日経平均株価の騰落では、過去10回で9回が上昇、1回が下落というデータがあります。
T:そんなデータがあるのですね。今回はどうでしょうか?いずれにしろ、日本の行く末を決める選挙です。しっかり考えて投票したいと思います。
神様:さて2025年と言えば、団塊の世代が後期高齢者となり、65歳以上の高齢化率が30%を超えると予測されています。来年は、少子高齢化が私たち自身や子どもたちの将来に与える影響をより強く感じる1年になるかもしれません。
T:社会保障の財政がひっ迫し、社会保険費の負担がさらに増える一方で、医療や介護における働き手の不足もより深刻化すると見られます。持続可能な医療体制をどのように確立するのかが課題ですね。
神様:政府は「あるべき医療・介護」の実現に向けた策として、「在宅医療・介護」を推進し、地域の包括的な支援・サービス提供体制の構築に取り組んでいます。重度な要介護状態となっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される体制を「地域包括ケアシステム」と呼び、2025年をめどに構築することを目指しています。
T:介護のあり方も変わりつつありますね。かつては子どもや家族が親の介護を行うことが当然とされていましたが、介護を必要とする高齢者が増え、家族の形態も変わり、介護離職も問題となりました。40歳を超えると介護保険の被保険者となりますが、介護サービスがますます重要になってきますね。
神様:そうですね。介護保険制度とは、家族の負担を軽減し、介護を社会全体で支えることを目的に2000年に創設された制度です。サービスを受けるためには申請後に要介護・要支援認定を受ける必要があります。例えば、自宅で受けられるサービスとしては訪問介護、訪問看護などがあります。どちらも人手不足が深刻です。今後の体制強化が求められています。
T:ところで、訪問介護と訪問看護では、何が違うのですか?
神様:訪問介護は訪問介護員(ホームヘルパー)が、入浴、排せつ、食事などの介護や調理、洗濯、掃除等の家事を行うサービスです。訪問看護は、自宅で療養生活が送れるよう、看護師が医師の指示のもとで、健康チェックや療養上の世話などを行うサービスです。
T:なるほど。
神様:訪問看護事業の2011年の事業所数を見ると、訪問看護ステーションが5,884カ所、病院・診療所は1,925カ所でした。しかし、2023年では訪問看護ステーションが14,074カ所、病院・診療所が1,211カ所となり、大きな差が表れています。病院・診療所が減少している要因としては、財政健全化や医療従事者の不足に伴い、施設の統廃合や機能再編が進んだことが挙げられます。
T:一方で訪問看護ステーションの伸びが顕著ですね。それだけサービス提供体制の構築が進んでいるということですよね。
神様:しかし、現場で働く看護職員数は不足しています。2020年の訪問看護職員数は6.8万人でしたが、2025年には11.3万人の訪問看護職員が必要になると推計されています。
T:労働人口が減少していく中で、人数を確保するのはなかなか難しそうです。職員の確保だけでなく、業務の生産性の向上が求められますね。
神様:その通りです。今後は、ICT化による業務効率化を進めて記録などにかかる時間を短縮させ、看護職員が訪問看護に専念できる環境を整備することが必要不可欠です。訪問看護向け電子カルテや記録・請求ソフトなどの導入をはじめとした業務効率化を図るツールの導入が積極的に行われるでしょう。こうした関連サービスを手掛ける企業にとっては、大きなチャンスになりそうです。
(この項終わり。次回10/16掲載予定)
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