第422話 地方創生”再起動” 観光・IT・農業など支援企業に注目
株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内ホテルのラウンジで紅茶を飲みながら投資談義を行っています。
神様:10月4日、石破総理は国会で所信表明演説を行いました。演説は5つの柱で「日本の未来を守る」ことがテーマとなっています。そのうちの一つが「地方を守る」でした。
T:石破総理は、安倍政権時代に地方創生担当大臣でしたね。地方創生推進交付金の創設や文化庁の京都府への移転を推進しました。文化庁は昨年3月から京都で業務を開始しています。しかし、少子高齢化や東京への一極集中、地方の人口減などはまだ効果として見えていないですね。
神様:地方創生は10年前の2014年、地方圏から都市圏への人口流入により地方圏の人口減少が目立ち、地方の過疎化や地域産業の衰退が課題となったことが発端でした。2014年の経済財政運営と改革の基本方針で地方創生への取り組みが示され、2014年11月には地方創生の理念等を定めた「まち・ひと・しごと創生法案」など2法案が成立しました。その時の地方創生担当大臣が石破総理でした。
T:今回の所信表明演説で石破総理は、「地方創生2.0として再起動させる」と表明しています。
神様:地方創生のあり方も変化しています。官民が一体となり産業振興策など特色ある施策を推進させ、人口減少を抑制し、持続可能な社会を目指す政策や取り組みから始まり、2021年には、この取り組みにデジタルの力を活用して加速させる「デジタル田園都市国家構想」が登場。現在まで政府による取り組みが行われています。
T:デジタル田園都市国家構想という言葉は聞いたことがありますが、取り組み内容にはいまいちピンと来ません。どういう構想なのでしょうか?
神様:デジタル庁によると、デジタル田園都市国家構想が目指すのは、地域の豊かさをそのままに、都市と同じ又は違った利便性と魅力を備えた、魅力溢れる新たな地域づくりであるとしています。「地方に仕事をつくる」、「人の流れをつくる」、「結婚・出産子育ての希望をかなえる」、「魅力的な地域をつくる」などを、デジタルの力で新たなサービスや共助のビジネスモデルを生み出しながら、地域の中で実現することを目指すものです。
T:なるほど。リモートワークなど、現在は全国のどこでも仕事をできる環境が整いつつあります。ITの活用によって、都心でなくても便利で快適な生活ができる社会を実現することは、全国の地域を活性化させる強力な力になりますね。
神様:令和4年度補正予算において、「デジタル田園都市国家構想交付金」が創設されました。各地方自治体のデジタル実装に必要な経費などを支援するものですが、Tさんのおっしゃるように、「転職なき移住」を推進するサテライトオフィスの整備・利用促進に取り組む自治体を支援する「地方創生テレワーク型」や、大学卒業後に地方に移住する学生への支援の強化、地方自治体による高等教育費の負担軽減に向けた支援などが行われています。
T:地方創生は一夜に成し遂げられるものではありません。こうした日々の支援、地道な継続した支援が、都心一極集中から地方活性化へと向かう流れを作るのでしょう。ところで、デジタル田園都市国家構想交付金は自治体への支援ということで、企業への交付はないのですか?
神様:自治体が観光や農林水産業振興など地方創生の取り組みに力を注げば、地方創生を支援する企業にとっては大きなチャンスとなるでしょう。観光、IT、農林水産など、人手不足が顕著な業界に都心の学生が就職し、活躍することが可能となれば、自治体や企業だけでなく、地域全体にとって大きな成功事例となるはずです。
T:なるほど。
神様:今後はデジタル田園都市国家構想実現会議を発展させ「新しい地方経済・生活環境創生本部」を創設することとし、10月11日には同本部の設置が閣議決定されました。ソフト面・ハード面の両面において、デジタルの力を大いに活用し、新しい地方創生が進んでいくことを期待しましょう。
T:地方創生を支援する企業の活躍の場が広がることも期待したいと思います。
(この項終わり。次回11/6掲載予定)
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