第447話 人体に有害?水道水にも含まれる?規制進む物質「PFAS」とは
株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、下町の甘味処で抹茶を飲みながら投資談義を行っています。
神様:最近、「PFAS(ピーファス)」という言葉を聞いたことはありませんか?
T:いえ、初めて聞きました。一体何のことでしょうか?
神様:PFASとは、有機フッ素化合物です。特にペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物を総称して「PFAS」と呼び、1万種類以上の物質があるそうです。

T:ペルフルオロ…?
神様:難しい言葉ですね。ここ最近、PFASと呼ばれている物質の一部で、人体への有害性が明らかになってきているのです。
T:PFASはどんなものに使われているのでしょうか?
神様:PFASの性質として、水や油をはじき、耐熱性が高いのでフライパンのコーティングや衣類の防水加工、防水スプレー、消火器の泡などに活用されています。PFASは分解されにくく(難分解性)、蓄積しやすい(高蓄積性)という性質を持っています。水と一緒に長距離を移動しても変化しにくいので、世界的に広い範囲に影響を及ぼします(長距離移動性)。日本国内でも規制やリスク管理に関する取り組みが進められています。
T:人体に有害とのことですが、どのような影響があるのですか?
神様:これまでの研究によれば、人体に蓄積するとコレステロール値の上昇、発癌、免疫系等との関連が報告されているようです。
T:水と一緒に移動するということは、普段飲んでいる水にも含まれている可能性があるわけですよね?水道水は大丈夫なのですか?
神様:PFASのうち、有害性が高いとされるのが「PFOS」、「PFOA」と呼ばれる物質です。さらに、最近では「PFHxS」なども挙げられていますが、政府は1日に飲む水の量を2リットル、ヒトの平均体重を50キログラムとして、生涯にわたって摂取したとしても健康に影響がない値として、水道水の暫定目標値をPFOS・PFOA合計で50ナノグラム/リットルとしています。これまでのところ、調査によってこの目標値を超えるPFASが検出された水道事業はありません。
T:それは良かったです。ほっとしました。
神様:しかし、2024年9月30日時点で、全国1,745事業の約2割に当たる332事業でPFASが検出されました。環境省が4月25日に公表した公共用水域及び地下水の「PFOS及びPFOAの水質測定結果」では、39都道府県、2,078地点(河川:981地点、湖沼:37地点、海域:99地点、地下水:961地点)が調査され、そのうち22都府県、242地点(河川:56地点、湖沼:0地点、海域:0地点、地下水:186地点)で国の目標値を超過していることが確認されました。

T:地下水で186地点も超過しているのですか…。
神様:最近は井戸水で高い濃度のPFASが検出された報道も目立ちます。今後の対応が注目されるところです。国連のPOPs条約(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)では、「PFOS」、「PFOA」、「PFHxS」などを特定PFASと定め、廃絶・制限の対象としています。今後さらにPOPs条約による規制対象が拡大する可能性も考えられるでしょう。
T:規制がさらに強まっていくと同時に、これまで使われてきたPFASの除去やPFASに代わる安全な物質の開発や活用も求められますね。
神様:その通りです。クラレによれば、米国での飲料水のPFAS処理市場規模は、2030年には年間10億から20億ドルになると推定されています。国内企業にもPFASの除去やPFASを含まず環境に配慮した製品を製造する企業が数多くあります。今後さらにPFAS処理への意識が高まり、PFASに対する除去、不使用、代替等のソリューションにかかわる企業の活躍が期待されます。
T:PFAS、初めて聞きましたが勉強になりました。関連企業の今後の活躍に注目ですね。
(この項終わり。次回5/21掲載予定)
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