第448話 シェアリングエコノミー、3兆円規模に拡大 空間レンタルに注目
株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、海の見えるカフェでコーヒーを飲みながら投資談義を行っています。
神様:ここ最近、シェアリングエコノミーの市場拡大が注目されています。一般社団法人シェアリングエコノミー協会と株式会社情報通信総合研究所の共同調査によると、2022年度のシェアリングエコノミーの市場規模は過去最大となる2兆6,158億円。2024年度調査では2022年度比で18.7%の増加となる3兆1,050億円に拡大しました。今後、2032年度には最大で15兆1,165億円まで拡大すると予測されています。

T:シェアリングエコノミーとは、具体的にはどんなサービスを言うのでしょうか?何となくイメージはつきますが、明確な定義はあるのですか?
神様:消費者庁によると、シェアリングエコノミーとは、インターネットのサイトやアプリを介して、個人と個人、または個人と企業等との間で活用可能な資産(場所、モノ、スキルなど)をシェア(売買、貸し借り等)することで生まれる経済とされています。また、シェアを生み出すサイトやアプリをプラットフォームと呼び、プラットフォームを運営する事業者のことをプラットフォーマーと呼びます。
T:本当にさまざまなシェアサービス、プラットフォームが増えましたよね。
神様:一般にシェアリングエコノミーのカテゴリーは、スペース・モノ・移動・スキル・お金の5つに分けられます。Tさんはどのくらい利用したことがあるでしょうか?
T:スペースと言えば、民泊が分かりやすいですね。モノはフリマアプリでの売買や服のレンタル、移動はサイクルシェアやカーシェア。スキルは、隙間時間を利用したアルバイト、料理や買い物の配達など。お金は、何でしょうか?お金のシェアと言うと…?
神様:お金は、クラウドファンディングが当てはまります。最近では、株の購入によるクラウドファンディングも登場していますよ。
T:なんと、投資もシェアリングエコノミーの時代なのですね。
神様:シェアリングエコノミーの中で最も一般的なのは、スペース(空間)のシェアです。2024年度の市場規模が拡大したのも、コロナ禍で急減した民泊の回復によるものと言われています。今後の市場拡大で最も期待されているのも空間シェアです。これまで空間シェアと言えば企業による会議室としての利用やテレワークでの利用が多い状況でしたが、最近は個人による空間シェアが広がりつつあります。
T:注目すべきは、やはり民泊の拡大でしょうか?
神様:もちろん、訪日客の増加に伴い民泊も期待が持てます。その他にも、空間シェアの例として、ママ会があります。
T:ママ会?
神様:同じくらいの年齢の子どもを持つ母親同士で集まって交流する会のことと考えれば良いでしょう。ママ会はカフェや飲食店で開催されることも多いようですが、一方で開催にかかる費用や他の利用客を気にして自宅での開催も多いようです。しかし、自宅に招くとなると、家をきれいにしておくなど招く側にとっては負担になります。子育てで忙しい中、なるべく負担なく集まりたい、となると…。
T:レンタルスペースですか?
神様:その通りです。最近はレンタルスペースの利用がママ会に人気です。食事は各々で好きなものを持ち寄り、デリバリーサービスを頼んで負担を軽減します。

T:飲食店のように他の利用客を気にする必要もありませんし、自宅に招く負担もありません。まさにママ会にうってつけですね。同じようにママ会以外の集まりにも利用できそうですよね。
神様:新年度の新人研修や資格試験の受験会場から、ママ会の開催場所へ――と言えば極端ですが、空間レンタルは法人需要から個人の利用へと用途が広がりつつあります。空きスペースの平日の稼働時間を増やす取り組みとしても、個人利用の増加は重要な役目を果たします。一方で、冒頭に紹介したシェアリングエコノミー市場拡大の予測が実現されるためには、新型コロナ感染の不安解消、認知度の向上、利用手続きの簡便化等の課題が解消されることも重要です。関連する企業の活躍が期待されるところです。
(この項終わり。次回5/28掲載予定)
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