第449話 防衛予算8兆円超に 国防支える防衛産業の活躍に期待
株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内ホテルのラウンジで投資談義を行っています。
神様:防衛省は4月2日、「防衛力抜本的強化の進捗と予算」と題した令和7年度予算の概要を公表しました。それによると、令和7年度の防衛予算は前年度比で9.7%増となる8兆4,748億円となっています。
T:2024年度は7.9兆円でしたが、8兆円を超えましたね。
神様:日本の国防、そして防衛費は現在大きな変化の真っただ中にあります。岸田前首相が掲げた「43兆円の防衛力整備計画」がまさに今実施されているところです。
T:令和5年(2023年)度を1年目とし、令和9年(2027年)度までの5カ年計画ですね。5年で総額43兆円ですから、毎年右肩上がりで増額しています。そして、令和9年度にはGDPの2%の予算を確保する予定です。ところでGDPの2%とはどのくらいの金額なのでしょうか?
神様:およそ11兆円です。令和4年(2022年)度の防衛予算がおよそ5.4兆円でしたから、いかに予算が飛躍的に拡大していくかがわかります。

T:それだけ現在の世界情勢が危機的であるということですね。
神様:現在、日本は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面しています。日本周辺では、北朝鮮や中国などの地政学的なリスクが高まって久しく、さらにロシアにも隣接し、厳しさは増しています。その一方で、2023年度における主要国の国防費を見ると、実質国内総生産(GDP)に占める比率において、日本は諸外国と比べて低い事実があります。
T:グラフを見ると、GDP比で2%を下回っているのは中国とドイツですか?

神様:中国はGDP比こそ低いですが、防衛費は巨額です。2025年度の予算案では、公表されたものでおよそ36兆5000億円とされています。また、令和6年度防衛白書では、中国の2023年度の国防費をおよそ4000億ドルとしています。
T:4000億ドルとなると、日本円では…およそ57兆円ですか!?
神様:ドイツも防衛費の増強を図っています。2023年度はGDP比で2%未満ですが、2024年度には2%超を達成。2025年3月、ドイツ連邦議会では国防費の歴史的な増額を行うため、ドイツの憲法にあたる基本法の改正法案が可決されました。まさに世界的に防衛費の増額が行われています。
T:世界の行く末が気になるところですが、最後まで平和のための防衛費増強でありたいところです。
神様:さて、投資の観点で重要なのは今年度予算で達成される防衛装備の進捗状況でしょう。抜本的強化の対象として「7つの重視分野」が示されていますが、中でも「スタンド・オフ防衛能力」と呼ばれる、攻撃の届かない安全な距離で敵部隊に対処する能力の強化が注目されます。防衛省が公表している進捗状況では、一例として「トマホーク取得を2026年度から2025年度に1年前倒しで実施」や「島嶼防衛用高速滑空弾」「12式地対艦誘導弾能力向上型」の発射試験などが実施されています。これらの能力は日本の抑止力向上につながります。国内防衛産業の関連企業による受注拡大にもつながっています。
T:なるほど。日本を守る防衛産業にとっては大きなチャンスですね。令和7年(2025年)度は5カ年計画のちょうど真ん中です。これから4年目、5年目とさらに防衛費が増額していく中で、受注機会も拡大していくことが期待できます。
神様:防衛省は2023年度より、装備品などを発注する際の企業側の想定営業利益率を最大15%としています。従来は8%であったところを大きく引き上げています。防衛生産基盤の強化のためには、企業努力が適正に反映され、適正な利益につながることが大切です。利益のあり方を改善することで、防衛力を支える企業の力を強化する狙いがあります。防衛産業そのものが拡大するだけでなく、各企業の収益性も改善していくことが期待されているのです。
T:世界情勢は非常に厳しい環境にありますが、日本の未来を守るためにも、今後の防衛関連企業の活躍に期待したいと思います。
(この項終わり。次回6/4掲載予定)
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