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第61話 戦争と株(その2)

2017.07.26

株の神様に投資のポイントを教わっているTさんは、戦争は否定すべきものではあるが、武器などの新技術が、民間に活用される『スピンオフ』によって、人々の生活が便利になる面があり、経済の成長分野を生むこともある点について話しています。


神様:今、なくてはならないコンピュータも、当初は弾道の計算のために開発された『スピンオフ』です。

T:携帯電話も、軍事無線機の技術を応用して開発したと聞いたことがあります。

神様:デジタルカメラも、スパイ衛星で使われているCCDカメラと電子メモリー技術がもとです。

T:カナダ海軍出身の技術者が、レンズから取り込んだ映像を電気信号に変換して記録可能とする技術を発明したのが始まりだそうですよね。

神様:光ファイバーケーブルも、核攻撃の電磁パルスでも破壊されないような通信ケーブルとして開発されたものです。今は高速のインターネット回線として広く普及していますが。

T:インターネットも『スピンオフ』という説もありますね。敵対国からの核攻撃を受けた状況下でも指揮能力を喪失しないようにするため、分散処理システムとしての現在のインターネットの原型が誕生したという見方です。

神様:それまでは電話回線による2点間の通信に頼っていましたが、電話中継基地が破壊されると通信不能の危機になりますから、軍事的な観点から伝達情報のパケット通信化や、ある中継拠点が破壊されても迂回して情報を伝達するネットワークシステムの開発が急がれたのは確かでしょう。

T:それまでの2点間の通信からネットワークによる通信が誕生したことは画期的ですよね。

神様:ただ、現在は中継基地の攻防よりも別なかたちでインターネットの安全性を巡る攻防が激しく展開されていますね。

T:ハッキングやコンピュータウイルスですね。新たなウィルスが開発されると新しいアンチウイルスソフトが開発され、まるでイタチゴッコですよね。

神様:官民挙げてインターネット・セキュリティの安全性確保に力を入れています。日本の場合“専守防衛”で、どこかを攻撃するわけではありませんが。

T:そうなると、良いかどうかは別にして、ネットセキュリティ関連の開発を行っている会社は、株価が上がる可能性があり、要注目ですよね。

神様:その通りです。善悪は別として、武器開発の周辺に注目すると新技術の開発及びスピンオフで次の成長分野が見えてくる面はあります。

T:我々ができることは、いかにその技術をできる限り平和利用の方向にもっていくかですね。

神様:そうです。例えば、GPSも軍事用のナビゲーションシステムとして開発された測位衛星の技術ですが、今ではカーナビなどでの民間利用で馴染み深いですよね。日本でも、測量、高齢者やこどもの見守りサービス、各機械の自動制御、火山や地震の検知、天気予報等の利用に期待されています。

T:米国メーカーが軍事用に開発した地雷探査ロボットをベースにした強力なプログラムとメカニズムが、掃除機のルンバを生んだ事例もあります。

神様:我々が、技術を平和利用する会社に投資することが、一人一人の投資額は小さなものであっても、いずれは大きな流れをつくることにもなるのです。

Tさんは、大きくうなずき、子供達のためにも新技術を平和利用する会社を応援する投資を心がけようと強く思いました。

(この項おわり。次回「株式市場も夏休み?(その1)」を8/2掲載予定)

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