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第86話 会社の『進化』を見極める(その1)

2018.01.17

株の神様の声が聞こえるというTさん。投資の心構えやコツを、時折、神様から伝授されています。新たな年のスタートに神様と投資談義が弾みます。


神様:1年の始まりは、1年のマーケットを占うのが普通ですが、それは他でも目にできるものですから、せっかくなので、もっと長い目で将来を考えてみましょうか?

T:年末に、過去の戌年を振り返り、1958年以来、「戌笑う」といわれ、戌年には株高傾向がみられ、過去5回の戌年における日経平均株価の平均騰落率は、10%近いという話を伺いましたが、そういう感じでしょうか?(第83話「福来るか?」参照)

神様:今度は、個別の会社を少し長い目で見てみましょうか?例えば、ソニー。前身は東京通信工業という名前でした。ご存知でしたか?

T:はい。我々の世代だと、ウォークマンのイメージが鮮烈に残っていますが、もともとは、白モノ家電も手掛けていたんですよね。昨年、銀座のソニービルを壊すこともあり、創業70年を記念し、『It's a Sony』展が2016年11月12日から2017年3月31日まで開催され、見に行って来ました。

神様:今からは想像できませんが、木製の炊飯器を作って失敗したこともありました。それが、今ではスマホやゲームばかりでなく、AIスピーカーまで開発・販売しています。すごい『進化』ですよね。

T:実はAIスピーカーを年末に早速買ってみました。音楽の再生やニュース・天気予報などの情報検索まで声で操作できることが話題になっていますが、音質の良さや、主婦がキッチンで使えるよう水滴に強いなどの配慮がソニーらしくていいなと思いました。

神様:しかも、『進化』は通信・エレクトロニクスの分野にとどまりませんよね。

T:はい、金融事業でも収益を上げています。ソニー生命やソニー損保は私の知人でも加入している方がかなりいます。

神様:テレビに象徴される家電分野が苦戦を続けていた中で、金融事業は畑違いであるはずにも関わらず、グループ全体から見ても安定収益源になっています。 多角化は簡単ではないですが、それこそ事業環境に合わせて生態が変化する『進化』に成功したことになりますね。他にもそのように進化の成功例として思い浮かぶ企業がありますか?

T:そうですねー。富士フイルムのヘルスケア分野、医薬品や化粧品が当てはまるように思います。

神様:良い例ですね。実際に富士フイルムのヘルスケア分野の売上高は、もともとのグループの『顔』の事業であった写真フィルムやデジタルカメラの事業部門の売上高を上回るまでに成長しているようです。

T:化粧品と言えば、ロート製薬も進化に成功している例かもしれませんね。同社のドクターズコスメ『オバジ』は、ドラッグストア等で人気のコーナーのようで、妻も使っています。肌ラボという基礎化粧品でも成功しています。

神様:ところで、先ほど多角化は簡単ではないと申し上げました。実際にソニーや富士フイルム、ロート製薬のような成功例ばかりでなく、失敗例もあります。

T:バブルの頃に多角的経営が持てはやされましたが、その後、不動産分野等で失敗した企業も多く報道されました。

神様:このような進化の成功と失敗を分けるポイント、言い換えれば、成功する企業を見極めるコツとはなんだと思います。

T:そうですね。(本質の問いが来たなとちょっと緊張しつつ)戦略立案力の力量でしょうか?

神様:では、戦略立案力の力量の差はどこから生じるのですか?

T:成長分野の調査能力の差のように思われますが…

神様:それも大事な要素ですが、各社有能なスタッフができる限りのデータを収集して、大きくは変わらない手法で市場予測をするので、そこまでは差がつかないかもしれませんね。

T:確かにそうですね。う〜ん。経営者の決断能力でしょうか。

神様:それはもちろん重要です。ただ、決断する際に具体的には何を重視するか、決断しただけで成功するのかを考えて、企業をよく観察・分析する必要があると思います。私は3つほどポイントがあると考えています。

(この項つづく。次回1/24掲載予定)

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