第10話 業績と株価の見方(アドバイザーからの手紙)
兜町の株の神様のささやきをもとに、3月決算の会社のその後の株価の動きを調べ、良い材料が出た後、株価が上昇基調な会社の保有株を売り、その分、悪い材料が発表になったにも関わらずあまり下がらず、自分にとって好きな商品を扱い、経営者が優秀だと思える会社の株を買おうと考えていろいろ調べてみました。
すると、好業績の発表にも関わらず、株価が下がっている企業もあり、不思議に思って兜町に勤める知人のUさんに尋ねたところ、次のような手紙が来ました。
拝啓
梅雨を過ぎれば、もうすぐ夏です。今年の夏休みはどこか旅行にお出かけになりますか? 確か、高校受験を控えた息子さんがいらっしゃるので、塾の夏期講習などで、学業のアクセルの踏み時かもしれませんね。
試験というものはある種残酷なもので、運不運が左右することも確かです。「点数なんかでオレの価値が図れるか!」とはいってみても、「じゃあ、どうやって評価するのよ?」となりますと、「う~ん」と首をひねってしまいます。
子どもの学習能力を引き上げる塾の先生も結構大変な仕事のようで、褒めて伸ばすやり方もあれば、それなりの点をとっても「お前の力はまだまだこんなもんじゃない」と、敢えて奮起を促したりします。
長々とした前置きになってしまいましたが、これって、業績と株価の関係に似ているなって、思いまして!
株価は様々なファクター(要因)で動きますが、上昇、下落のトレンドを決めるのは、やはり企業業績です。いわば点数です。業績がよければ株価が上がり、悪ければその逆。
ところが話はそうは簡単じゃない。
例えば決算発表で、大幅に収益が伸びていても、ご指摘のように株価が下がるケースもあります。いわゆるアナリスト・コンセンサス、というヤツです。

アナリスト達がカバーしている銘柄は、決算が発表される前に、彼ら各自の判断に基づき業績が予想されており、その平均値が示されたものがアナリスト・コンセンサスです。
つまり決算発表前の株価は、会社側が提示している業績計画よりも、コンセンサスに基づいて形成されているという見方もできます。
ですから、発表された業績が会社計画に対する未達、過達という結果よりも、コンセンサスに対して上か下かが重視される傾向があります。
ただ、仮にコンセンサス未達であっても、慌てて売らないほうが賢明な場合もあります。例えば、売上が思ったよりも好調で業績は会社計画を上回りそうなので、あえて先行してコストを計上することもあるでしょう。
こうした業績の裏側にあるものを探るためには、証券会社のアドバイザーに相談するとよいでしょう。また、決算発表後のアナリスト・レポートを大いに参考にするべきでしょう。
いずれにせよ、好業績ながら株価が下がったときの投資家の無念さを思うと、まさに、「お前の力はまだまだこんなもんじゃない」といいたいところでしょうか。
以上、貴兄の投資に少しでも役立つようであれば幸いです。
ご家族のご健勝をお祈りしております。
敬具
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