第11話 長期的に成長する企業を見極めるには?
「どんな会社の株を買うと良いのか」について、Tさんは、兜町の株の神様から、ウォーレン・バフェット氏の例を参考に、長期保有(良い会社を見つけ、良い会社である限り持ち続ける)が極意であること、そのために信頼できる経営者がいる会社に投資すべきと教えられました(第8〜9話参照)。
お話は、信頼できる経営者の見極め方に進んでいきます。
T:長期的な視点で腰を据えて会社を選ぶことが秘訣で、その際に、経営者が重要な判断材料であることはよくわかりました。では、もう一歩進んで、経営者を観る時のポイントを教えて頂きたいです。
神様:創業社長が経営の舵取りをしている企業は成長が期待できるのではないでしょうか。もちろん、例外もありますが。
T:(意外そうな顔で)えっ、そうなのですか?創業社長というと、何か御家騒動だとか、合理的というより直感の経営だとか、後継者は優秀でなくても子供や親戚が継いで、社員は優秀でもトップになれないとか、とかくネガティブなイメージもありますが??
神様:納得いかない表情ですね(笑)。時として弊害があるのはその通りです。
T:MBA(経営大学院)を卒業したような経営のプロに任せる方が、経営者としての能力が高く、経営はうまくいく印象がありますが…。

神様:実際に、ある調査では、現役の上場企業の経営者の中で、就任中に最も時価総額を拡大させたベスト3は、いずれも上場前から社長を続けているオーナー社長で、時価総額を大きく膨らませたそうですよ。上位20位くらいまでの社長を見渡しても、トップ3人と同様、創業期からのオーナー社長が多かったそうです。
T:そうなのですね。確かに有名な経営者は創業社長が多いですね。でも、どんな点が経営者の能力として優れているのでしょう?
神様:大きくは2つあります。一つ目は、創業社長は、経営判断のスピードが早いこと。 創業社長の多くは、たった1人でリスクを取る決断も瞬時にできる。世界中で似たビジネス・アイデアを数十人は考えていて、実行へのハードルが技術革新等により下がっていると言われる中で、スピードはとても大事な能力になりますよね。
T:確かに、プロ経営者が雇われて優良企業のトップについても、まずは周囲の意見を聞いて、まとめる姿勢となりがちかもしれませんね。
神様:二つ目は、長期的な視点で、会社の先を見据えたビジョンを持って経営を考える力。創業社長は、自ら実現したい夢があるゆえに、投資家と違って四半期業績よりは2~3年後、さらには10年単位で、長期的な観点から経営します。バフェット氏も指摘している大事な能力です。
T:それもわかる気がします。社内から抜擢された社長や、社外から雇われたプロ経営者は、どうしても自分の任期内の数年で結果を出そうと、その範囲で考えますものね…。
(つづく)
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