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第12話 長期的に成長する企業を見極めるには?(その2)

2016.08.17

兜町の株の神様が、長期的に成長する企業を見極めるには、経営者が重要であり、その具体例として、創業社長には期待できるとTさんに話しています。そのささやきを続けて聞いてみましょう。


T:創業社長の長期的視野と経営判断のスピードが、小さな企業から長期的に大きく成長する源であり、投資に値することはよくわかりました。確かに創業社長の判断が的を射て、成功している限り、その経営哲学やビジョンが社内の求心力にもなるため、業績が拡大し、時価総額も上昇という好循環につながりやすいように思われます。 しかしながら、ワンマンの危険性も当然あるのではないでしょうか?

神様:それは、その通りです。創業のワンマン社長の下で業績に悪い兆しが見られた場合など、部下がいさめるのが難しく、あっという間に転落してしまう危険性もありますね。その意味では、軍師、あるいは大番頭さんとも言うべきナンバー2が、よい意味で創業社長にブレーキをかけたり、経営判断の選択肢を示すことが重要となります。

T:なるほど。確かに、松下幸之助さん、盛田昭夫さん、本田宗一郎さんのような名経営者には、それぞれ女房役のように言われる名ナンバー2がいらっしゃったように思います。

神様:私は豊臣秀吉に仕えた黒田官兵衛が好きでしたね。秀吉が“人たらし”と言われるように、人間の“情”に通じ、それを操れる優れたリーダーとすれば、官兵衛は人間の“理”に通じ“知”を結集したような人物でした。また、秀吉が変化への柔軟な対応に強みがあるのに対し、官兵衛は本質をえぐるような先見性や一貫性に強みがありました。

T:秀吉は官兵衛の先見の明と才気を頼りにしていたようですよね。側近の家臣に「私に代わって、天下を治められるのは誰だと思うか?」と問うて、家臣たちは徳川家康や前田利家らの名前を挙げたのに対し、秀吉自身は黒田官兵衛の名前を挙げたと、テレビ番組か何かで見た覚えがあります。

神様:織田信長が本能寺の変で急死した報を受け、取り乱す秀吉に対し、「秀吉様が天下を取るチャンスが参りました」と中国大返しを献策したエピソードがあります。株で言えば、秀吉が短期的な動きに臨機応変にチャンスを見出すのが上手だったのに対し、官兵衛は長期的なトレンドを見通す力が卓越していたのでしょう。

T:なるほど。

神様:興味深いのは、現代でも長期的に成功している企業は、トップの個性や才能に応じて、それを補ってバランスをとり、さらにはシナジーを生むような人物がナンバー2、あるいは両雄として機能していることです。

T:つまり、現代の企業でも、優秀な創業社長のみならず、それを支えるナンバー2がいるか、どんな強みをそれぞれ持っていて、補い合っているかを、投資する際に調べるとよいのですね。

神様:その通り。ところで、もう一つ、創業社長と企業の成長、そして投資の判断に関わる大事な視点があるのですが、それが何だかおわかりですか?

T:なんでしょう??ぜひ知りたいです!

神様:ある意味、成長企業の株をいつまで持ち続けるのかにも関わるポイントです。
(つづく)

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