第101話 味と投資(その2)

2018.05.02

株の神様の声が聞こえるというTさんは、眩しい新緑を眺めつつ、味覚(五基本味:苦味、甘味、塩味、酸味、うま味)を喩えに神様と投資談義に花を咲かせています。


神様:「うま味」の話をする前に、もう少し「塩味」のことを考えてみましょう。

T:「塩味」は「痛み」なので、「苦味」同様、「痛み」を知る企業や経営者を探すと良い投資対象になるかもしれないということではないのですか?

神様:「五基本味」の中ではむしろ「酸味」が「苦味」と似ているかもしれません。

T:「酸っぱい」経験の量が多い企業や経営者を探すと良いということですね。

神様:そうですね。ただ、「塩味」=「痛み」についてはもう少し複雑です。

T:と言いますと?

神様:経営で「痛み」というと何を想像しますか?

T:リストラ…ですかね。

神様:リストラには、市場や産業構造の変化に応じて事業を再編するという意味で良いリストラと、ビジョンも不明確なまま人材を含めてコストカットをするだけのリストラがあります。あなたならどちらの企業に投資しますか?

T:当然、前者です。

神様:そうでしょうね。投資対象の企業が「痛みを知っている」としても、この見極めが重要です。

T:痛みにも2種類あると…

神様:さらに良くないのは、「塩味」好きの人が舌が麻痺して辛さに鈍感になってしまうケースもあるのと同様に、「痛み」に慣れてしまうことです。

T:辛いものが好きな人の中には、普通の人が食べられないような辛いものを平気で食べる人もいますものね。

神様:コーポレート・ガバナンスなどの本質的な改革に手をつけずに、リストラという「痛み」に鈍感となって、慢性的にリストラを繰り返すような企業は、たとえ数字上は利益を出していても、投資対象とするかは慎重に検討すべきです。

T:「塩味」=「痛み」を知る企業や経営者というのは要注意なのですね。

神様:ただ、悪い事ばかりではないですよ。「人の痛みを知る」経営者は、良い組織を創れるので、中長期的には成功する確率が高いでしょう。

T:そういう経営者を探せば良いのですね。実績やインタビュー等を見るとただ冷徹な経営者なのか、人の痛みを知った上で厳しい経営者なのかはわかる気がします。

神様:観点を変えると「塩味」は「刺激」的でもありますよね。イノベーションには刺激が必要です。社内外の人材交流など、組織に刺激を与えるような取り組みに積極的な企業は要注目です。

T:「塩味」を喩えに投資対象を考えるといろんな見方がありますね。確かに複雑です。役員に「辛口なご意見番」がいるような会社も投資に値するかもしれませんね。

神様:「うまい」こと言いますね(笑)。そろそろ「うま味」の話をしましょうか?

(この項つづく。次回5/9掲載予定)

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