第102話 味と投資(その3)

2018.05.09

株の神様の声が聞こえるというTさんは、眩しい新緑を眺めつつ、「苦味」や「塩味」など味覚を喩えに神様と投資談義に花を咲かせています。「うま味」と投資の教訓について話が進んでいます。


神様:「うま味」が日本発であることはご存知ですよね?

T:はい、長らく西洋では「苦味」「甘味」「塩味」「酸味」の「四基本味」が認識されていましたが、現在は日本初の「うま味」を加えて、「五基本味」とされているのが一般的になっています。

神様:東京帝国大学(現、東京大学)理学部化学科の池田菊苗(いけだきくなえ)教授が、1907年に昆布から煮汁をとり、うま味の素であるL-グルタミン酸ナトリウムを得ることに成功しました。

T:後の「味の素」ですよね。

神様:そうですね。「うま味」は、第五の味として受け入れられるまでに議論が繰り返されましたが、舌にグルタミン酸受容体が発見されたことが、第五の味として認められる決定打となりました。受容体とは舌にある、味を感じるセンサーのことです。また、胃に「うま味」が入りますと、消化を促進する効果があるとする生理学的学説が示され、日本語の「うま味(UMAMI)」のままで世界に通用するようになっています。

T:(神様の見識が味覚についても深いことに驚きながら)でも、「うま味」から得られる投資の教訓って、どんなものでしょう?「うまい話には裏がある」的なものでしょうか?

神様:それも面白い視点かもしれませんが(笑)、先ほどの話で言えば、「日本発」で、世界に向けて「普遍的」でありながら、「新しい」ことが発信できる。そういう取り組みをしている企業を応援するための投資をするとよいでしょう、ということです。

T:(自分の喩えが安易でネガティブだったので恥ずかしく思いながら)なるほど〜

神様:例えば、日本だけでなく、世界的に高齢化社会が課題となっています。健康な老後を迎えるべく、まず食習慣から見直す必要があるでしょう。日本の「うま味」だけでなく、一汁三菜のような日本の和食は、西洋食に比べて野菜や魚をバランスよく摂取する健康長寿食と認められつつあります。

T:日本の食品関連企業各社は、そうした健康の増進に資する食品の開発に力を入れていますよね。

神様:味の素の例ではないですが、そのような食品関連企業の中でも、感覚的に和食がいいとアピールする企業以上に、科学的なエビデンスがしっかりしている企業は投資に値するかもしれませんね。

T:そうですね。そういう企業、探してみます!

(この項終わり。次回5/16掲載予定)

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