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第104話 投資の醍醐味(その2)

2018.05.23

株の神様の声が聞こえるというTさんは、「投資の醍醐味」について話をしています。神様は「カルピス」の生みの親である三島海雲氏の人生から「投資の醍醐味」が学べるといい、Tさんに「その意味を考えてみなさい」と問い掛けています。


T:カルピスは、仏教で「最上」を意味する「醍醐」の一歩手前の「熟酥(じゅくそ)」、サンスクリット語で「サルピス」が商品名の由来だと教えて頂きましたよね…(前話「第103話 投資の醍醐味(その1)」参照)
三島海雲は、当初から「最上」を目指していた、そういう心意気を持つ経営者を見つけるのが「投資の醍醐味」といった感じでしょうか?

神様:当たらずも遠からず、ですかね。「最上」を目指す経営者はたくさんいますよ(笑)
三島海雲は、乳酸菌で発酵させたクリームを商品化した「醍醐味」に続いて、その製造過程で残った脱脂乳を乳酸菌で発酵させた「醍醐素」を発売、さらには、生きた乳酸菌入りキャラメル「ラクトーキャラメル」を発売しました。しかし、「醍醐味」「醍醐素」「ラクトーキャラメル」ともに、原料となる牛乳収集の困難さや商品が生菌だったこと、キャラメルの溶解などにより失敗に終わります。その経験を踏まえ、「醍醐素」を改良し、おいしく体に良い飲み物として開発したのが、日本初の乳酸菌飲料「カルピス」です。

T:つまり、失敗経験、試行錯誤、諦めない心といった資質を持つ経営者だったわけですよね。それは「苦味」を知る経営者が投資に値することと同様の意味ですね。(「第100話 味と投資」(その1)参照

神様:それだけではないのですよ。三島海雲は新しいものへの感性と挑戦する勇気を持ち合わせていました。「カルピス」の有名なキャッチフレーズに『初恋の味』がありますが、今では信じられないかもしれませんが、当時(大正11年)は、“初恋”という言葉をおおっぴらに使うことがはばかるような時代でした。それにも関わらず、新聞広告に使用したのが始まりです。実際に、当初は世論を二分するほど話題になりました。

T:そうだったんですか。

神様:この他にも、動物愛護協会とタイアップし、富士山頂から東京・日比谷公園まで伝書鳩レースを行い、その所要時間を当てるクイズ懸賞の広告イベントを開催したり、野口雨情、西条八十、北原白秋など当時人気のあった童謡詩人を選者にし、小学生からの童謡を募集したり、第1次世界大戦後のインフレに苦しむドイツを中心とした欧州の商業美術家救済と、欧州に比べて格段に遅れていた日本の商業美術界に新風を吹き込む狙いで、「カルピス」の宣伝用ポスターデザインの公募を行い、欧州各国から応募作品を集めたりと、社会貢献と商品の周知を兼ねるような広告宣伝の手法を次々と生み出しました。

T:なるほど。「新しいものへの感性と挑戦する勇気」が三島海雲の人生から得られる2つめのポイントですね。

(この項つづく。次回5/30掲載予定)

【参照】カルピス 公式ホームページ
カルピスの想いと歩み カルピスの生みの親 三島海雲
http://www.calpis.info/story/developer/

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