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第116話 貿易摩擦を超えて成長産業を探す (その1)

2018.08.15

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、お盆休みで人通りの少ない都心のカフェで投資談義をしています。


T:米中の貿易摩擦が激しさを増しそうですね。

神様:トランプ米政権が、中国からの輸入品2000億ドル(約22兆円)相当を対象とする新たな関税リストを発表しましたね。また、最終的には中国からの年間輸入総額の5000億ドル相当の全てに追加関税を課す考えのようです。

T:このところ米国の保護貿易主義は株式市場の波乱要因ともなっています。貿易摩擦をめぐる問題が続くと、株式相場のマイナス要因となる可能性もあり、心配です。

神様:ただ、こうした不透明感の漂う中であるからこそ、今後の成長がどこにあるかをじっくり考えたいところです。

T:と言いますと?

神様:例えば、食品株は、6月下旬に業種別日経平均株価の指数が続伸し1990年2月以来約28年ぶりの高値を付けました。

T:内需依存が高く、成長の限界も指摘されてきた業界で、しかも米中貿易摩擦などへの警戒感もある中で、株価が伸びてるんですね。

神様:そうです。原料安や値上げによる業績拡大期待が背景にあるようですが、日本の食品関連企業が、世界的に和食が注目される中で、高品質やきめ細かいサービスを武器に、海外に打って出るような変革の努力を行い、それが実を結び始めているようにも思われます。

T:先日テレビで、インドネシアで日本のパンが注目されているとの特集を見ました。いわゆる「和食」だけでなく、日本の厳しい消費者に鍛えられた企業の提供する食品は、世界的に見るとどんな分野でも、美味しく安全で信頼できるとの評価を得られるようですね。

神様:ラーメン、餃子、カレー等、もともと他国の食べ物を、日本流にアレンジし、より美味しくバリエーションに富んだものとするのは、われわれ日本人が得意とするところですが、それが世界的に認められてきていることに、大きな成長のチャンスを感じます

T:これも聞いた話ですが、インドの留学生が、日本の大学の食堂のカレーの美味しさにびっくりして、母国に帰っても食べたいと思うそうです。

神様:何年か前は、フランスやイギリスで、日本の食が健康的でクールだとブームになりましたが、今では定着し、しかも欧米だけでなく、人口の大きな中国や東南アジア、そしてインドといった国でもここ数年で日本の食関連の商品やサービスの人気が高まっています。関連企業の業績拡大や株価上昇も期待できますね。

T:こう考えると、貿易摩擦で先行き不安になるだけでなく、楽しみな分野も多くありそうですね!

神様:その通りです。例えば、他にも…

(この項つづく。次回8/22掲載予定)

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