兜のささやき兜のささやき

第123話 投資の日 実質金利マイナス時代

2018.10.03

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、晴天の中、秋を感じる気持ち良い公園で、投資談義をしています。


神様:秋と聞いて何が頭に浮かびますか?

T:そうですねー、やはり秋の味覚ですかね。「秋刀魚」に「栗」、「梨」、「マツタケ」。あるいは、夏のぎらぎらする太陽から、日差しが柔らかくなり過ごしやすい気候も秋と聞いて思い浮かべます。それに、紅葉も楽しめますね。

神様:何か大事なことを忘れていませんか?

T:えっ??何でしょうか、運動の秋かな?

神様:明日が何の日かご存知ですか?

T:10月4日ですよね…。あっ!「投資の日」ですね!

神様:そうです。10月4日は、日本証券業協会が、より多くの人々に証券投資に関心を持ってもらうため、1996年に「10(とう)」と「4(し)」の語呂合わせから「証券投資の日」と定めました。秋は、投資について今一度、学び直す日々にしてはどうですか?(笑)

T:はい、ぜひそうします。

神様:ところで、7月に金融政策を決める会合で、金融市場調整・資産買入れの弾力的運営、マイナス金利適用額の縮小が決まりました。内容をご存知ですか?

T:はい、10年国債利回りのゼロ金利政策を維持しつつ、長期金利・資産買入れ額の変動の容認、ETF(上場投資信託)に占めるTOPIX(東証株価指数)型の増加等です。

神様:どのような意味があると思いますか?

T:マイナス金利適用額の縮小等は低下する銀行収益への配慮が働いた措置とみられますが、物価上昇率が実績値で安定的に2%を超えるまでマネタリーベース(※日本銀行が供給する通貨)拡大を継続する方針に変化はないと思われます。

神様:その通りですね。また、フォワードガイダンス(※中央銀行が政策金利の据え置き期間や政策変更の条件など将来における金融政策の方針を前もって表明し、市場参加者の予想や期待に働きかけ金融政策効果の浸透を目指すこと)を導入し、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを決めたことで、超金融緩和政策が長期化し、実質金利マイナス時代が続きそうです。
ところで、あなたは、実質金利を説明できますか?

T:(今日は本当に投資の勉強っぽいなと感じつつ)はい、実質金利とは、金利を物価上昇率との関係から見たもので、見かけの金利(名目金利)から物価変動の影響(物価上昇率)を差し引いた金利を指します。

神様:そうですね。一般的に実質金利(名目金利-物価上昇率)はプラスになるのが正常な状態ですが、マイナス(物価上昇率>名目金利)になると、銀行預金の利息が増えるペースよりモノの値段が上昇するほうが速くなり、お金の価値が実質的に目減りすることになります。では、現在の実質金利がどれくらいかわかりますか?

T:えーと(スマートフォンで調べ)、9月27日時点で、長期金利(10年国債利回り)0.115%と消費者物価上昇率+0.9%を参考に実質金利を計算(0.115-0.9)するとマイナス0.785%となります。

神様:そう、マイナスですから、お金の価値が目減りしているわけです。したがって、お金をモノへ交換するインセンティブが高まることになります。

T:つまり、モノの裏付けのある株式の魅力が相対的に高まることにもなりますよね。

神様:その通り。戦後73年中、実質金利がマイナスだったのは通算12年程度で約60年間は実質金利がプラスでした。特にバブル崩壊後は低金利であっても実質金利は高止まりしていましたが、それが、デフレ脱却を目指す日銀の超金融緩和策導入で、トレンドが変わりました。日銀は、物価上昇率が実績値で安定的に2%となることを金融政策の目標としており、実質金利マイナス時代が続きそうです。

Tさんは、株式投資が魅力的なトレンドが続くことを再認識しつつ、日頃の投資の勉強の大切さを改めて感じました。

(この項おわり。次回10/10「半値戻しは全値戻し」を掲載予定)

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