兜のささやき兜のささやき

第124話 半値戻しは全値戻し

2018.10.10

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、都内の和食屋さんで、秋刀魚の刺身や塩焼き、松茸の土瓶蒸し、栗ご飯と秋の味覚を日本酒と楽しみながら、投資談義をしています。


T:平成最後の秋を迎え、このところ株価は上昇基調にありますよね。

神様:そうですね。先月9月28日に、日経平均株価は今年の1月23日の年初来高値2万4,129円34銭(取引時間中)を更新し、26年10カ月ぶりの高値水準まで上昇しました。

T:振り返ると、バブル崩壊や2008年9月のリーマン・ショックに端を発した金融危機もあり、株価は下落傾向でしたが、今や株式市場は新たな時代に向けて新たな相場を形成しようとしているようにも見えます。

神様:1989年(平成元年)、東証の大納会で日経平均株価が史上最高値の3万8,957円44銭(同日終値3万8,915円87銭)を記録したわけですが、その後2009年3月安値7,054円98銭を記録しました。

T:(神様の記憶力に舌を巻きながら)その間の下げ幅約3万1,860円ですね。

神様:その通り。計算が早いですね(笑)。そして、この9月末の日経平均株価の終値は、2万4,120円と、1989年高値から2009年3月安値までの下げ幅の「半値戻し(2万2,985円)」以上のレベルになってきています。

T:今後は、さらなる株価の上昇に弾みがつくと考えて良いのでしょうか?

神様:相場格言では、「半値戻しは全値戻し」といわれるように、下落幅の半値を戻した相場は、今後もとの水準まで戻る勢いがあると言われています。

T:ということは、神様もこの上昇基調は続くとお考えで…?

神様:(少々いたずらっぽく笑いながら)一方では、大きく下げた後に半分まで戻ってくれたので、これ以上欲を出さずに利益を確定した方がよいという意味を持つとも言われていますが、さてどちらでしょうか?

T:(いつも自分で考えることの大切さを説かれていることを思い出し、頭を掻きながら)景気の面から考えると当面上昇基調が続くようにも思われます

神様:政策面からもそれは言えますね。第2次安倍政権のスタートで始まったアベノミクスの目玉は、日本銀行による異次元緩和政策です。これは、長期国債利回りゼロ金利の下で市場への大量の資金供給を行い、人々にインフレ予想を形成し、景気を刺激する政策で、リフレ政策と呼ばれる金融政策です。

T:日本銀行が「異次元緩和」に踏み出して5年半余り、異次元緩和は「成功だ」「いや失敗だ」と評価は割れています。しかし、失業率が低下し、求人倍率が高くなるなどの一定の効果がみられるのも事実ですよね。

神様:日本銀行の最終目標であるインフレ率2%は、いまだ達成できていません。黒田総裁と雨宮副総裁、リフレ派の若田部副総裁の正副総裁の任期満了である2023年春までのおよそ5年間の間に超金融緩和を通じて政策実現を目指すということを考えると、もう少し欲を出してもいいのかもしれませんね。

(この項おわり。次回10/17「ノーベル賞と株(その1)」を掲載予定)

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