兜のささやき兜のささやき

第132話 成長が見込める医療関連分野 (その1)

2018.12.05

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、居酒屋で鴨鍋をつつきながら、投資講義を受けています。


神様:今日は、『核となる事業の周辺にチャンスがある』ということを、医療業界を例に考えてみましょうか?

T:医療や健康には誰もが関心があるので、とても興味深いです。

神様:さて、医療分野の核となる事業は何でしょう?

T:当然、病院です。それに製薬や薬の販売といったところでしょうか?

神様:そうですね。では、病院経営はどのようなイメージでしょうか?

T:難しそうな印象です。高齢化により増え続ける国民医療費を抑えるため、政府が主導し、手厚い医療を必要としていない患者については、自宅や介護施設での治療へ切り替えられていますので、収入は頭打ちになる傾向ですし、看護師等の人手不足も深刻なように思われます。個人病院では後継者の問題もあると聞いています。

神様:さすがよくご存知ですね。国民医療費の削減を目指す動きに加え、人口の減少が病院経営を圧迫しているのが現状です。実際に床数、病院数ともに減少傾向にあります。大きな収入増が見込めない以上、病院経営におけるコスト削減の重要性が増していると言えます。

T:ただ、医療の質は維持向上させつつ、コストを削減するのは簡単ではないですよね。

神様:その通り。そこで、核と周辺の話となるわけです。

T:と、申しますと?

神様:病院は核となる診断や治療に集中し、周辺の業務は外部委託を活用して効率化を測るということです。

T:なるほど。

神様:病院における業務は多岐にわたります。それぞれが高い専門性を必要とするため、これまでは病院内で手掛けてきた分野が多いのですが、例えば、血液等の検体を検査する臨床検査のように、院内から院外へと外部委託が進んでいる業務も増えています。

T:病院食のような分野もありそうですね。

神様:そうですね。実際に外食産業やホテル業界等に食品納入を手掛ける食品商社が、病院にも幅広い食材の供給とメニューの提案を展開している例があります。
他に病院の周辺業務というとどんなものが思い浮かびますか?

T:会計その他の事務のような業務も周辺と言えますよね。

神様:その通り。医療事務は、いまだ外部委託率が3割程度と低い分野です。逆に言えば、この分野の事業者は成長余地が高いとも言えます。医療器具・医療機器の滅菌業務も外部委託率が低いので代行事業者にとっては成長分野です。

T:まさに『周辺にチャンスがある』のですね!

神様:そうです。既に外部委託率が高い臨床検査分野では、大手が経営効率の高さを武器として、中小業者に M&Aを積極的に展開し、今後の成長を目指しているため注目ですし、「手ぶらで入院、退院」をコンセプトに、衣類・タオル・日用品を入院患者にセットで提供するといった新たなサービスも注目です。

T:医療分野の核となる病院は経営効率化が課題となっていますが、逆に言えば、周辺で関連サービスを提供する企業のビジネスチャンスは広がるということなんですね。

神様:そうです。そして医療分野にはさらなるビックチャンスがあります。なんだと思いますか?
 

(この項つづく。次回12/12掲載予定)

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