兜のささやき兜のささやき

第133話 成長が見込める医療関連分野 (その2)

2018.12.12

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今回は、居酒屋で鍋をつつきながら、『核となるビジネスの周辺にチャンスがある』とのテーマで医療業界を例に教えを受けています。医療分野の核となる病院は、経営効率化が課題ですが、周辺で、検査受託・医療事務・医療食等、様々な関連ビジネスにチャンスがあるとの話を聞いています。「医療分野にはさらにビックなチャンスがあるのですが。おわかりですか?」と神様に謎かけられています。


T:医療分野のさらにビックなチャンスですよね…
ビックというだけにビックデータの関連だったりしますか?

神様:さすがです!その通りです。今年の5月11日に「次世代医療基盤法」が施行されたのはご存知ですか?

T:はい。我が国は、国民皆保険制度下にあり、医療・健康分野で膨大なデータが存在しますが、この法律によって、それらを有効活用できるようになったと聞いています。

神様:その通りです。そのデータは3つに大別できます。第一は、内閣府や自治体が保有するオープンデータです。全国の国民医療保険のデータやレセプト情報等が該当します。第二は、医療者が活用するデータで、電子カルテ等のデータです。三つ目は、何だかわかりますか?

T:患者側のデータでしょうか?

神様:そうです。お薬手帳や母子手帳の記述内容などです。

T:個人情報保護の観点もあり、それらのデータの活用は難しかったわけですよね。

神様:その通り。それが「次世代医療基盤法」の施行により、オプトアウトといって、患者本人が反対しなければ同意したとみなし、医療情報を第三者である認定事業者に提供できるようになりました。

T:医療情報を扱う認定事業者は大きなビジネスチャンスが生まれますね!

神様:それだけではありません。本人の同意があれば、個人の健康・医療・介護の経年的なデータを統合し、医療・介護職等に提供することもできます。その意味するところがわかりますか?

T:医療の発展に寄与する…ということでしょうか…

神様:もっと具体的に言えば、カルテや検査データなど、医療機関が持つ患者の医療情報を匿名加工し、大学や企業での研究開発等にも活用できるようになるのです。

T:大学や研究機関、製薬メーカー、医療・健康分野のベンチャー等、『病院と患者』という医療の『核』の周辺に存在する様々なプレイヤーにとってチャンスがあるということですね。

神様:そうです。話題のAI(人工知能)を活用した診断支援ソフトの開発や、患者毎にあった最適治療の提供も実現に向けてグッと加速できるでしょう。

T:同じ病気や症状でも、患者の体質や環境等によって、本来症状も異なり、治療も異なるはずですから、最適治療が実現できると、健康長寿の方が増え、「人生100年時代」も現実味が増しますね。

神様:他にも周辺でいろんなビジネスチャンスが考えられますよ。なにか思い浮かびますか?

T:当然、新薬の研究開発に役立つでしょうし、副作用など医薬品の安全性向上にも貢献しますよね。

神様:データの共有というのは、様々な波及効果を生みます。異なる医療機関や診療・治療領域の情報を統合した治療成績の評価、地域の医療ニーズ分析と提供体制の検討、診療報酬・費用対効果の向上なども期待できます。

T:病気の予防や健康な人々向けのサービスとの連携もあり得ますよね。そう考えるともっと広がりが期待できてワクワクして来ます。

神様:いずれにしても、医療ビックデータの蓄積に力を注いで来た企業や、それを分析する能力に長けた企業には大きなビジネスチャンスを迎えていると言えますね。

(この項終わり。次回12/19「共働きと少子化で儲かる企業」を掲載予定)

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