第14話 良い経営者の見つけ方(アドバイザーからの手紙)
兜町の株の神様に、長期的視野で投資すべき会社を見つけるには、今は小規模でも創業社長がビジョンと決断力を持っているかどうかがポイントだと教えられたTさんは、具体的にどのような調べ方をするとよいかを兜町に勤める知人のUさんに尋ねてみました。律儀なUさんから、次のような手紙が来ました。
拝啓
暑い日が続きますが、お元気でしょうか?
新興企業で、これから伸びが期待できる経営者をどう探すかがご質問の趣旨ですね。
私は、新興企業を見てもう30年近くになりますが、地方に拠点を置く小さな会社が、全国展開するようになり、規模を拡大していく。これが、中小型銘柄投資の醍醐味といってよいでしょう。
具体的な社名を挙げろと言われれば、千葉県松戸市のマツモトキヨシ、群馬県前橋市のヤマダ電機などです。そうそう、広島証券取引所に単独上場していたユニクロ、ファーストリテイリングも忘れられません。いずれも個性的な経営陣がキラリと光ります。
立場上、将来の成長が期待される企業の特徴を教えろ、といわれますが、これは千差万別。ケース・バイ・ケースです。 しかしながら何が一番大事かという問いには即答できます。社長です。
新興企業の中には、最終利益が1億円にも満たないことも珍しくありません。赤字の企業もあるくらいです。メジャー・リーグのイチロー選手の年収にも満たない利益の企業の命運を握るのは、なんといっても社長です。
貴兄が、今は新興企業の、良い社長の探し方に着目しているのは、まさに慧眼と言えるでしょう。

着目すべき、具体的な内容は、以下のような事項です。
・社長がどのような経緯で現在に至り、会社を立ち上げたのか。
・どのような夢を持っているのか。
・どんな人や企業がその夢に賛同しているのか。
ただ、一般の投資家が、上場企業の社長に直に接する機会は滅多にありませんので、直接上記の質問をぶつけることは簡単ではありません。
一方で、今はインターネットが発達しています。勢いのある企業の社長は、様々なメディアからインタビューを受け、その記録はインターネット上に結構残っているものです。それらをサーチして参考にしましょう。
また証券会社のアナリストがまとめている企業の「トップ・インタビュー」などがあれば、それは是非活用するべきでしょう。
日本人形の大手のテレビコマーシャルで「人形は顔がいのち」というのを目にすることがあります。新興企業にとって、まさしく社長が顔であり、いのちでもありましょう。
けれども、稀に、社長がお飾りの「人形」であるケースもあるのでご用心。
敬具
投資・相続のご相談は
いちよし証券へ
全国の店舗にて、お客様の資産運用や相続についてのご相談を受け付けております。
お客様の人生設計に寄り添いながら、最適なご提案を行います。