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第145話 ドローンと『空の産業革命』

2019.03.06

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、甘味処で庭の梅を見ながら、お茶と和菓子を楽しみつつ、今後の成長分野の話になっています。


T:先日、ニュージーランドに移住した知人から話を聴く機会があったのですが、かの国ではドローン・タクシー(無人航空機による人や荷物の移動)に熱心に取り組んでいるそうです。

神様:ドローンは、日本でも様々な業界で活用が始まっており、新技術や製品の研究開発の進展と相まって、『空の産業革命』が期待されている分野ですね。2024年度のドローンの国内市場は3,711億円と、2016年度比で10.5倍へ拡大するとの予想もあります。

T:社会的な意義も大きく、投資家にとっても注目の分野ですね。

神様:ドローンの市場は「機体」、「サービス」、「周辺サービス」で構成されます。中でも今後もっとも成長が見込まれる分野は「サービス」です。「サービス」の内訳を見ると、代表的な用途は現状では何かご存知ですか?

T:農業ですかね?

神様:さすがですね。農薬散布等の作業ではラジコンを用いた大型の無人ヘリコプターから、相対的に安価なドローンへの代替が進んでいます。では、今後の成長が見込まれる「サービス」にはどんなものがありますか?

T:一つには「検査」や「点検」の分野があると思います。GPS(全地球測位システム)が機能し得ない環境下においても、自動航行やデータ管理可能な機能が開発されたことにより、ドローンを活用して、橋梁やトンネル、工場、ビル等の遠隔地における無人点検が可能となっていると聞きました。

神様:おー、よく勉強されていますね。働き方改革に関連して、ドローンが夜間の「残業監視」をするといった使い方も生まれています。

T:ただ、「周辺サービス」については、まだ、それほどリサーチしていません。

神様:例えば、最新のITを用いて業務変革を促すためのツールやノウハウを提供している会社が、ドローンの業務活用の可能性評価・導入実務の支援をパッケージで提供する例があります。

T:なるほど。ドローンの活用の方法と実際をアドバイスするサービスですね。

神様:住宅地図の作成・出版を全国展開している会社が、建物・鉄塔・送電線など長年蓄積してきた空間情報を3次元化することで、ドローンが安心・安全に目的地に向かうための「空の道」設定サービスを提供するといったユニークな例もあります。

T:それは自社の強みを上手に生かしている例ですね。

神様:「機体」の分野も注目すると面白いですよ。コンピューターやロボット、自動車の「眼」に相当する人工知覚(AP)アルゴリズムの研究、開発及びライセンス提供を手掛ける会社は、ドローン等の「眼」として、アルゴリズムが採用されていくことが期待されています。

T:技術的な強みを横展開していくわけですね。

神様:その他にも、自律制御システムに強みを持つ会社によるドローンを活用した特注システムの提供、通信技術に秀でたメーカーによる受信モジュール開発といったように、様々な企業にチャンスがありそうです。ただ、ドローン産業の発展には、もう一つ注目しなければならない分野があります。

T:と、言いますと?

神様:ドローンを一段と活用するためには、規制の見直しや更なる法整備の進展が必要です。あなたが例に出したニュージーランドはそのあたりが進んでいるのでしょう。

T:確かに、いろいろな面で実験国家だという話も聴きました。

神様:法規制の整備が進み、一方でエンドユーザーへの投資対効果が明確化するに従い、ドローンを活用したサービスが定着するだけでなく、さらに新たな用途開発が進むでしょう。そうなると、いよいよ期待の大きな成長分野となり、『空の産業革命』の実現に近づくことになります。

(この項終わり。次回3/13「花粉は儲かる?」を掲載予定)

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