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第154話 東京五輪で期待の投資先(その2)

2019.05.08

株の神様から投資の極意を教えてもらっているTさんは、お金の話は社会に出てから大切なので、家族にもその内容をわかりやすく伝えています。今では、奥様のA子さん、高校生の長女Y、中学生の長男Sも投資に興味を持つようになりました。東京五輪のチケット販売の話から、『五輪で儲かる期待の会社』の話となり、対テロ等の安全対策から警備・セキュリティ関連企業の話になり、さらに「風が吹くと桶屋が儲かる」のように、意外であまり知られていない業界もあるとの話になっています。


S:「風が吹くと、砂が入って目が見えなくなる人が増えて、盲目の人は三味線を習うから三味線の需要が増えて、猫の皮で三味線を作るため猫が減って、ネズミが増えて、桶がかじられて…」という落語だよね。

Y:「五輪が始まると、競技場に集まる人が増えて…」と考えてみるということよね。

T:うーん、そうだね。五輪が始まる前に、既に伸び始めている業界もあるけどね。

A子:競技場等の建設や整備をする建設業関連の会社かしら。

T:さすが、ママ。建設業ももちろんだけど、もう一歩深掘りすると…

S:建物の材料とかかな?

T:その通り。建設資材関連の会社も五輪需要で伸びているようだよ。例えば、セメント。セメント協会によると、2019年2月のセメント販売量は前年同月比5.6%増の422.7万トンと、2カ月連続で前年を上回った。来年の東京五輪・パラリンピック関連の工事進捗が貢献しているそうだ。

Y:でも、競技場等を作った後は、伸びが止まっちゃうんじゃない?

T:いい質問だね。国内では、東京五輪・パラリンピックだけでなく、北陸新幹線の延伸、リニア中央新幹線等の大型案件があるし、都市部の再開発工事も継続する。また、今年10月に消費税が増税されるけど、住宅ローン減税は拡充されることへの期待から、国内でもセメントのような建設資材の需要は続くと予想されている。それに、面白いのは、海外向けの輸出が伸びているそうだよ。

A子:輸出!興味深い話ね。

T:さっきの統計では、国内が前年同月比で3.2%増(340.2 万トン)に対して、輸出は17%(82.5万トン)増えたそうだ。社会インフラ整備を進めるシンガポールやフィリピン向けなどが大幅に伸びたことが寄与したそうだよ。

Y:輸出の方が、伸びは大きいのね。なんか意外な感じ。

T:日本のセメントは、その品質や製造技術・環境技術の高さ、産業廃棄物の有効活用等で世界から認知されているようだ。セメント協会によれば、19年度(19年4月〜20年3月)のセメント需要見通しは、国内は前年度見込み比1.2%増の4,300万トン。海外は、同3.8%増の1,100万トンの見込み。海外は、アジアだけでなく、オセアニア等の地域でも伸びが期待されるそうだ。量は国内が大きいけど、伸びは海外向けが大きいようだね。

A子:それなら、警備業界だけでなく、セメント業界も調べてみなくちゃね!

T:そうだね。歴史ある業界だからこれまでの成り立ちや、業界各社の特徴、それに海外の競合や取引先の状況等を調べてみるといいかもしれないね。なお、セメント協会によれば、昨年度は地震や豪雨など自然災害の発生でセメントの生産や物流に支障が生じたそうだ。こうしたことがなければ、本年度は協会の需要見通しを上回るセメントの販売が期待されるそうだよ。

S:セメント業界も、五輪の競技と同じように、天気は大事なんだね。

T:そうだね。自然災害やテロのような事件等、何事もなく無事で東京五輪・パラリンピックが成功するといいよね。

(この項終わり。次回5/15「成長する動画広告」を掲載予定)

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