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第160話 リテールテックが小売業の人手不足を解消

2019.06.19

株の神様から投資の極意を教えてもらっているTさんは、お金の話は社会に出てから大切なので、家族にもその内容をわかりやすく伝えています。今では、奥様のA子さん、高校生の長女Y、中学生の長男Sも投資に興味を持つようになりました。家族団らんの時間も、投資の話につながるようです。


Y:パパ、ママ、夏休みにアルバイトしたいと思っているけど、どうかな?

S:お姉ちゃん、お小遣い稼ぎできるね!羨ましいな〜

A子:部活と両立できるならいいんじゃない?

T:社会勉強になるし、お金を稼ぐ大変さも学べるから、いいと思うよ。ただ、将来につながる仕事を選ぶといいね。自分の好きなことに関連があるとか、自分の得意なことを活かせるとか。

Y:あまり将来につながるというのは考えてなかった。近くのコンビニやカフェでいいかなと。

A子:スーパーもそうだけど、小売業はどこも人手不足のようだから、探せば結構いい条件のアルバイトが見つかりそうよね。

T:小売業の雇用状況を見ると、常用労働者数、つまり毎日のように働く人は増えている。でも、充足されていない求人数も増えてしまっている。つまり、小売業の店舗等の仕事は人が増える以上に増えている状況と言える。だから、確かに仕事は見つけやすいだろうね。

S:でも、お店の店員さんって、将来につながる仕事なのかな? 

T:おっ、なかなか鋭い質問だね。小売業では、人出不足を解消するために省人化、つまり人が関わらなくても販売できるような投資の重要性が増している。特にITやIoTの最新デジタル技術を活用することを「リテールテック」と呼んで、期待が集まっている。これが進展すると、店員さんが要らない仕事も増えてくるだろうね。

A子:スーパーの無人レジみたいなものね。

T:その通り。省人化効果の高い技術の1つがAI(人工知能)だ。AIによる無人レジの稼動や管理業務の自動化が省人化につながる。画像認識など先進テクノロジーを活用し、無人決済店舗も増えるだろうね。世界では小売業向けのAI市場規模は2017年の9億9,360万ドルから、2022年には50億3,400万ドルに成長すると予測されているそうだ。(MarketsandMarketsの調査)

Y:AIに将来取って代わられないような仕事のアルバイトを探した方がいいということね。

T:そういう視点も大切ということかな。ITの進展は、省人化のような人に取って代わる面もあるし、ITを活用した販売データの蓄積により、どんなモノをどうするともっと効果的効率的に売れるかを分析するデータサイエンティストのような新たな仕事を生む面もある。

S:新しく生まれて伸びそうな分野の仕事を探せるといいんだね。

T:小売店で言えば、例えば、バーコードなんていい例だね。バーコードは、ITの進展を背景に商品の在庫管理や販売データの取得をサポートするために普及したよね。クラウドもそうだ。自社のコンピュータではなく外部に販売データ等を蓄積するというサービスが生まれ、急速に伸びた。

A子:確かにどれも昔はなかったものね。

T:バーコード等のプリンタやラベルの製造で国内シェアトップまで成長した自動認識システムの総合メーカーがある。クラウドでは、データを預かるだけでなく、発注や納品などの小売業の基幹業務を受託し、業務効率を向上するサービスが成長している。AI技術分野では、アルゴリズムという技術の根幹を他企業向けにライセンスビジネス展開する会社もある。新たな仕事が生まれ、新たな会社が成長するということだね。

Y:何だか私のアルバイトの話というよりは、ママの投資向けの話の雰囲気になってきたね(笑)

T:ごめん、ごめん(笑)。でも、小売業者がAIなどのデジタル技術を導入する「リテールテック」の動きはこれからも増えると想定され、その技術を提供できる企業の成長性は高いと考えられるから、魅力的な投資対象となるだろうね。

A子:早速チェックするわ!

Y:私もその分野で高校生でもできるアルバイト、なかなか無さそうだけど(笑)、探してみるわ。

(この項終わり。次回6/26「世界に広がるジャポニズム!海外で人気の日本のコンテンツ」を掲載予定)

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