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第164話 「防災・減災、国土強靱化」の注目企業は?

2019.07.17

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、ホテルのロビーでコーヒーを飲みながら投資談義をしています。


神様:ここ数年、梅雨の季節になると必ずといっていいほど豪雨災害が発生しています。

T:ニュースで「警戒レベル4」などと報道されると、大きな被害が出ないか心配になります。早めの避難が大切ですね。

神様:2018年の全国での土砂災害の発生件数は、過去10年間の平均の3倍以上だったことをご存知ですか?

T:え、そんなに多かったのですか?

神様:そうです。それを受けて政府では、2018年末に「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」を策定しました。2018年度から2020年度の3年間までに、約7兆円をかけて集中的に対策を実施するものです。今、豪雨災害対策が国策として至急進められていると言えます。

T:最近の大雨災害は、私の子どもの頃の大雨とは規模が違うもののように見えます。これまでの大雨対策では対応しきれず、新しい対策が必要となっているのですね。

神様:投資家のTさんとしては、この状況をどのように見ますか?

T:(先月家族で話した建設業界のことを思い浮かべながら (第158話 建設業と東京五輪) )それはやはり、公共工事の需要が増えるでしょうから、ゼネコンなどの大手建設会社に注目でしょうか。

神様:そうですね。公共工事の発注動向の把握には、全国における「公共工事前払金保証請負額」が用いられますが、その推移を見ると、2019年の1月から5月は6.3兆円と、前年同期比で5.7%も増加しています。2018年後半にかけて、災害復旧や防災対策工事が増加したことが、2019年前半の公共工事を牽引していると言えます。

T:しばらくは緊急対策の需要増が続きますね。

神様:投資先として、どのような建設会社が良いと思いますか?

T:やはり、大手ゼネコンが強いですよね。大阪万博の開発工事などの受注も期待できます。

神様:その通りですね。もう少し突き詰めて考えてみましょう。「防災・減災、国土強靱化」関連の企業は広範にわたりますが、道路や橋などの補修工事に特化したゼネコンや、河川や港湾の補強工事を得意とする建設会社を考えてみてください。材料を内製化し、一貫体制を敷いてコスト競争力で強みを発揮するなど、独自の取り組みや専門技術が強みを発揮しています。それぞれの企業の得意分野を整理しておくと良いと思います。

T:なるほど。大手ゼネコンだけでなく、災害時に独自の強みを発揮する建設会社は、まさに今求められている企業ですね。

神様:さらに、災害対策だけでなく、他にも強みがないかを調べてみましょう。例えば、防災・減災対策の関連企業の中でも、次世代交通インフラに貢献している企業があります。2027年に品川・名古屋間での開業を目指している「リニア中央新幹線」の開発工事にも、トンネル掘削工事などで防災・減災対策工事の関連企業の技術が用いられています。

T:リニア新幹線は、東京と名古屋を時速500キロで結ぶという、未来の交通インフラですね。災害対策の需要増のほか、次世代交通インフラ開発に注力している企業は、今後期待できそうですね。

神様:また、約7兆円の3か年緊急対策には、その他にどんな内容が盛り込まれているかご存知ですか?土砂災害などの被害対策のほかに、食料供給、ライフラインの確保や陸海空の交通ネットワークの確保などにも大規模な予算が使われます。そこから注目すべき投資先のヒントが見えてくるかもしれません。

Tさんは、今後発生するかもしれない豪雨災害の被害の最小化を願いながら、「3か年緊急対策」の内容について調べ、改めて建設会社をはじめとする有力な投資先について考えてみようと思いました。

(この項終わり。次回7/24「QRコード決済の普及を左右するのは…?」を掲載予定)

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