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第176話 ラグビーワールドカップで考える「おもてなし」の課題

2019.10.09

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日はラグビーファンで賑わうパブで、ビールを飲みながらの投資談義となりました。


T:いやー、盛り上がってますね!それに、神様がお酒を飲んでいるのがとても新鮮です(笑)。

神様:(お酒の話には触れずに)どうですか、この前お話したように (第172話 経済効果4,372億円 ラグビーW杯は「コト消費」に注目) 、ラグビーワールドカップが開幕して、会場の雰囲気などは見てみましたか?

T:試合会場の近くでパブリックビューイングが行われていたので、仕事帰りに立ち寄って、日本戦を見ました。ビールもおいしいですし、周りの人たちと一緒になって応援するのは楽しいですね。

神様:日本文化の体験ツアーも人気のようですし、日本の「おもてなし」が海外でも評判になっていますね。

T:今回、試合会場とは別に「ファンゾーン」と呼ばれる特設会場が各地に登場しています。そこでは、飲食はもちろん、日本文化の紹介ブースなどもあり、ラグビーを楽しみながら気軽に立ち寄って触れられるようになっていました。

神様:では、課題点は見つかりましたか?

T:試合会場への食品の持込が禁止されていたのが、解禁されましたよね。試合会場内の食品が品薄になったとのことで、当初の想定以上に売れたのだと思いますが、近隣で購入した食品を持ち込めれば、地元のお店にとって、売上アップだけでなく貴重なアピール機会になりますし、新たな施策が期待できますね。

神様:今その場でしか体験できないことを、地元のおいしい「食」を味わいながら体験したい。「コト消費」の観点からも、大切なことだと思います。

T:その他では、英語でのコミュニケーションは大きな課題だと思います。私自身、とっさに外国人に話しかけられても対応できません。観光庁による訪日外国人向けのアンケートでも、訪日外国人が旅行中に困ったことの1位は「施設等のスタッフとのコミュニケーションが取れない」ことがトップなのだそうです。

神様:そうですね。日本人の英語力が世界でどのくらいに位置づけられているか、ご存知ですか?国際教育機関「EF」が実施するEF英語能力指数「EF EPI第8版(2018年)」によると、日本の英語能力のランキングは88か国中、49位でした。アジアでは韓国が31位、中国が46位、台湾が47位です。

T:残念な順位ですね。多くの日本人が英語でコミュニケーションが取れれば、もっと訪日外国人のニーズを適切につかめると思いますし、「おもてなし」の魅力も上がるでしょうね。大切なチャンスを逃している気がしてきました。

神様:来年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、この課題をどうやって克服するか、ひとつのポイントとなりそうですね。ピンチはチャンスです。最近はクラウド翻訳サービスやAIによる機械翻訳もありますから、上手に活用していきたいところです。

T:なるほど。そういった音声や翻訳を事業としている企業がどのような活動をしているかにも注目してみます。

神様:実際、翻訳・通訳の市場は、緩やかに拡大を続けています。政府が来年の目標としている訪日外国人客数4,000万人、さらに、東京オリンピック・パラリンピック後のビジネスシーンも見据えたとき、これからの翻訳・通訳市場は面白いかもしれません。

Tさんは、来年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、日本人の英語のコミュニケーション問題にどのように対応すれば良いか、ラグビーワールドカップを参考に考えてみようと思いました。

(この項終わり。次回10/16「人手不足・働き方改革…日本の企業に求められる変化」掲載予定)

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