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第177話 人手不足・働き方改革…日本の企業に求められる変化

2019.10.16

株の神様から投資の極意を教えてもらっているTさんは、お金の話は社会に出てから大切なので、家族にもその内容をわかりやすく伝えています。今では、奥様のA子さん、高校生の長女Y、中学生の長男Sも投資に興味を持つようになりました。今日は就職氷河期世代の話から、投資の話になりました。


A子:30代半ばから40代半ばの就職氷河期世代の雇用を政府が支援していることが話題になっているけれど、うまくいくのかしら。

T:これまで正社員になりたくても機会がなかったのだから、本当に就職を望んでいる人にとってはチャンスなんじゃないかな。

A子:でも、フリーターや仕事をしていなかった人にとってはハードルが高いわよね。そういう人たちをどれだけケアできるのかも気になるわ。

T:就職氷河期世代の人たちは年齢も高いから、今から就職は難しいのではないか?という声もあるけれど、パパはそうは思わないな。今は人手不足で仕事の数はどんどん増えているよね。それに、これから70歳まで働く時代が来れば、今から就職しても遅くはないよ。

S:え、僕も70歳まで働くの?そんなの想像できないな。

T:YやSが仕事を始めるころには、70歳まで働く時代になっているかもしれないね。日本は少子高齢化で人口が減っても、労働力は減らしたくない。だから定年年齢を引き上げたり、副業や兼業を可能にしたり、男性中心の働き方を改善したりと、多様な働き方を可能にして、それによって労働の生産性も改善しようとしているんだ。日本生産性本部の「労働生産性の国際比較」という調査によると、日本の時間あたりの労働生産性は、主要先進国7か国でみると、1970年以降ずっと最下位なんだよ。

S:そうなんだ!知らなかった。どうして最下位なの?

T:うーん。日本の終身雇用の影響もあるだろうし、他の先進国に比べて仕事上で無駄な慣習や時間が多かったり、企業の社員数が多すぎたり、原因は様々言われているけれどね。就職氷河期世代の雇用も含めて、日本の企業には変わらなければいけない部分がたくさんあると思うな。

Y:人手不足がもっと深刻になると、無駄な慣習や時間はきっとなくなるよね。以前、AIでなくなる仕事や生き残る仕事について話をしたけれど (第97話 AIと仕事の未来、そして投資(その2)) 、手が回らないところこそ、AIにやってもらいたいよね。

T:そうだね。それから仕事には、その企業の業績を左右する「コアな仕事」と、周辺のそうではない仕事とがあって、周辺の仕事をどうするかを考えるのも大切だよね。BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)という言葉があって、その企業にとってコアではない仕事については、他社へアウトソーシング、つまり業務委託するという考え方もあるよ。経営資源は有限だから、投資と一緒で何に使って何に使わないかをきちんと考えることは大切だよね。

S:重要な仕事は社員がやって、そうでない仕事は外部の会社にやってもらうということ?

T:重要というか、その企業にとっての本質的な仕事と言えるかな。たとえば、経理業務やIT系業務はBPOを活用することができるんじゃないかな。それから、委託するにしても、日本では関連会社などに委託することが多くて、「アウトソーシングのプロ」に任せることが少ないんだ。BPO先進国と言われている米国では、プロによってより戦略的に行われていて、それによって、コスト削減や業務効率化などを実現している。日本もこれからはそういう企業戦略が必要になってくると思うな。

S:アウトソーシングのプロか、かっこいいな。

T:特に、IT系のBPOサービスを提供する企業は、日本でも安定して成長していると言われているから、これから伸びてくるかもしれないね。

A子:確かに、IT業界は深刻な人材不足になると言われているし、IT系BPOサービス業界には大きな成長が見込めるかもしれないわね。調べてみるわ。

(この項終わり。次回10/23「増税前駆け込み購入だけじゃない…パソコン市場の変化とは?」掲載予定)

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