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第182話 超高齢化社会の日本 眼鏡業界が面白い

2019.11.20

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、街中の喫茶店で温かいコーヒーを飲みながらの投資談義となりました。


T:最近はよく家族で高齢化社会や働き方改革の話をしている (第177話 人手不足・働き方改革…日本の企業に求められる変化 ) のですが、私もこの先何歳まで働くことになるのか、ふと考えてしまいますね。

神様:不安ですか?それとも楽しみですか?

T:それはやはり、不安が大きいですよ。

神様:長く働けることをうれしいと感じる人もいるでしょうし、捉え方は様々ではないかと思います。リンダ・グラットン氏が書いた「LIFE SHIFT」は読まれましたか?著者は、教育・仕事・引退後という人生の3パターンのモデルが変化し、今後は長寿社会によってより多様なパターンが現れる、と説いています。ですから、高齢化により単純に労働時間が長くなる、というのではないのだろうと思います。そこをどう考えるのかが大切ですよね。

T:(神様は前向きだな、と思いながら)そうですね。

神様:日本は少子高齢化、長寿社会において、「課題先進国」であると言われています。内閣府の「令和元年版高齢社会白書」によれば、2018年10月時点での日本の高齢化率(65歳以上の高齢者の割合)は28.1%となり、高齢化率が21%以上の「超高齢社会」に入っています。また、今後半世紀で世界でも高齢化が急速に進むと予測されています。日本ほど高齢化が進んでいる国はありません。今後、世界が日本を追随することになるのですから、この分野に関しては、日本が先進的なモデルケースとなります。投資においてもヒントとなるでしょう。

T:これまで考えてきた、高齢化や働き方改革において伸びる企業やサービス、投資すべき企業などは、今後世界でも応用できるかもしれない、ということですね。

神様:例えば、高齢化によってニーズが高まっている分野に、眼鏡やコンタクトレンズなどの業界があります。働く高齢者が増えているだけでなく、最近は皆、スマートフォンなどで日常的に目を酷使していますから、今後もますますニーズが高まるでしょう。

T:しかし確か、低価格帯眼鏡が台頭して眼鏡の市場規模は伸びていないのではないかと思いますが。

神様:おっしゃる通りです。「SPA」方式はご存知ですよね。

T:はい。「specialty store retailer of private label apparel」の略称で、「製造型小売業」と言われています。米国のアパレル「GAP」が初めて行ったもので、企画から製造、販売までを全て自社で行う手法です。国内ではユニクロなどが同じ手法をとって有名になりました。また、アパレルだけでなく、家具や眼鏡の業界でも取り入れられています。

神様:さすが、その通りです。眼鏡では海外生産を中心としたSPA方式を構築し、主に若者や女性向けに1万円未満の低価格帯眼鏡が売上を伸ばしています。そのため実は、これまでの2万円以上の高い価格帯の眼鏡を販売してきた企業では苦戦を強いられてきました。眼鏡単体では、市場規模はここ数年で横ばい傾向となっています。一方で、コンタクトレンズは若者を中心に広く受け入れられ、過去30年間で国内の市場規模が4倍以上に拡大している、というのが現状です。

T:今後はどうなるのでしょうか?

神様:そこが、まさに面白いところだと思います。超高齢社会がさらに進むことによって、今後もさらに低価格帯が台頭するのか、それとも、全く異なる販売戦略が登場するのか。実際、眼鏡やコンタクトレンズの関連企業を調べてみると、各社の生き残り戦略が見えてきます。今後どんな変化が起こるのかに注目しましょう。そしてそれは、国内だけでなく世界的にも参考となるかもしれませんね。

T:なるほど。超高齢社会での眼鏡・コンタクトレンズ業界も面白いですね。まずは、各社の戦略を調べてみます。

Tさんは、眼鏡・コンタクトレンズ業界を例に、日本が直面している超高齢社会における企業の生き残り戦略について、より詳しく調べてみようと思いました。また、世界に先んじている日本の高齢化を前向きに捉え、そこから投資のヒントが見つかるかもしれないと考えました。

(この項終わり。次回11/27「長時間労働・低賃金…物流で進む働き方改革」掲載予定)

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