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第187話 医療機器市場の行方(2)日本の「逆転」はあるか?

2019.12.25

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。神様とTさんは、駅前のカフェでコーヒーを飲みながら、前回に続き、医療機器の市場について話をしています。神様が医療機器市場における日本の企業に期待していることとは?


神様:政府は、国内の医療機器市場の成長はもちろんのこと、医療機器メーカーの海外進出の支援をしています。なぜ支援をしているのか?それは、政府が世界最先端の医療技術・サービスの実現を目指し、医療、医薬品、医療機器を戦略産業として育成し、日本産業の柱とする方針を立てているからです。

T:日本全体で医療分野に力を入れているのですね。

神様:海外支援を充実させているおかげで、2018年の医療機器輸出額は、前年比で7.9%増加したという厚生労働省の調査結果があります。でも、それだけでは、何かトピックスとして物足りないと思いませんか?

T:と言いますと?

神様:今後の日本の経済成長には、イノベーションが必要とされています。革新的な技術やサービスを生み出し、それを育て、日本経済を牽引する産業をつくり上げたい。ここはそのための環境をつくりたいところです。

T:医療機器の分野ですと、何があるのでしょうか?

神様:最近、外科手術などで「手術ロボット」が活躍しているのをご存知ですか?ロボットが自動で手術を行うわけではありません。正式には「ロボット支援下手術」と言います。内視鏡手術のように、体内にカメラを入れ、モニター越しに手術部位を見ながら、ロボットアームなどを動かして治療をします。一般の手術より体を傷つける範囲が少なく、患者にとっても負担が少ないのが特徴です。

T:ロボットを使って手術するとは、すごい時代になりましたね。そうか!ロボットと言えば日本も黙ってはいられませんね。

神様:そうありたいところですが、かつて日本のお家芸と言われたロボット分野も、最近は世界の中で地位が低下していると言われています。現在、手術支援ロボットで圧倒的なシェアを誇っているのは、アメリカの企業が開発した「da Vinci」(ダ・ヴィンチ)です。現在、世界各国では次のロボット開発・販売競争が過熱しているのです。

T:なるほど。国内の大手医療機器メーカーを中心に、現在どんな開発をしているのか、調べてみようと思います。また、ロボットとなると、医療機器メーカーだけではないかもしれませんね。

神様:今後はさらに、医療機器のICT化が進みます。ロボットだけでなく、AI、IoTやビッグデータの活用など、他産業との連携も進むでしょう。この分野の未来のイメージをしっかり見据えながら、注目していきたいですね。

Tさんは早速、手術用ロボットの開発状況について、日本企業の状況や世界的な動きについて、調べてみようと思いました。また、最先端の医療動向がどのように進歩していくか、ICT化の観点からも注視していこうと思いました。

(この項終わり。次回1/15「拡大する転職支援サービス市場 鍵は働き方と高齢化」掲載予定)

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