兜のささやき兜のささやき

第186話 医療機器市場の行方(1)海外展開が鍵に?

2019.12.18

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、駅前のカフェでコーヒーを飲みながらの投資談義となりました。


神様:今日は医療分野について、お話をしましょうか。これまで、医療分野では、がん治療 (第167話 がん治療の最前線に投資する) 、後発医薬品 (第151話 医療分野で期待の後発医薬品) 、認知症 (第147話 認知症対策と投資) 、さらには医療ビッグデータの活用 (第133話 成長が見込める医療関連分野(その2)) など、今年も様々な話題がありましたね。

T:高齢化が進んでいるからでしょうか。市場でも医療の話題には事欠かないですね。

神様:医療分野は日進月歩で、日々新しい治療法や技術が登場しています。今日はその中で、医療機器についてお話します。まず、「医療機器」とは、どういった機器のことか分かりますか?

T:字面そのままですが、医療で使用する機器のことですよね?

神様:そうですね。旧薬事法、現在は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、いわゆる「薬機法」では、医療機器は「人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であって、政令で定めるものをいう。」とされています。

T:調べてみると、ペースメーカ、人工呼吸器、X線撮影装置、注射針から、家庭用マッサージ器や補聴器、それにコンドームも医療機器に分類されるのですね。

神様:コンドームは、もともとはエイズをはじめとした性感染症を防ぐために開発されたものなので、医療機器なのですよ。避妊にとっても大切ですよね。

T:なるほど。確かにそうですね。

神様:現在、日本では医療機器市場が拡大しています。要因は高齢化のほかに、生活習慣病やがん、心疾患などの慢性疾患の増加が挙げられます。

T:医療技術の向上もあり、今後も成長が続きそうですね。

神様:問題は、世界的な市場で見た場合ですね。世界で上位の医療機器メーカーはアメリカが中心です。日本はどちらかと言えば、遅れをとっていると言えるでしょう。また、「医療機器」の定義が各国で異なっていたり、医療機器に関する規制内容も異なっているために、海外進出がしづらい点があるのも、問題点と言えるでしょうね。

T:国内はこれから人口が減少していきますし、一方で海外では、しばらくはアジア圏中心に人口が増加すると言われています。日本の医療機器メーカーにとっては、欧米に遅れをとりたくないですよね。

神様:そのため、厚生労働省や経済産業省など、政府が中心となって、医療機器の海外進出を支援しているのです。欧米企業に比べ、現地でのメンテナンスやアフターケアサービスが不十分であると思われていたり、現地の病院側が望むパッケージでの売り込みができていなかったり、現地の医療ニーズや制度に適応できていなかったりといった課題について、現地での医療機関の設立や人材育成、現地の市場調査や研究開発のサポート、専門家の派遣など、様々な支援策が実施されています。

T:この努力がきちんと実れば、国内だけでなく、海外進出においても医療機器関連企業の成長に期待できますね。ところでどうして、神様は今回この医療機器を話題として取り上げたのでしょうか?

神様:いい質問ですね(笑)。医療機器分野に私がもう一つ、期待していることがあるのです。

(この項つづく。次回12/25掲載予定)

投資・相続のご相談は
いちよし証券へ

全国の店舗にて、お客様の資産運用や相続についてのご相談を受け付けております。
お客様の人生設計に寄り添いながら、最適なご提案を行います。

PAGE TOP
PAGE TOP