兜のささやき兜のささやき

第206話 新型コロナで原油史上初の事態に 注目すべき企業は?

2020.05.27

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日も、Tさんは神様とインターネット会議システムを使って投資談義をしています。


神様:新型コロナウイルスの感染拡大に関して、これまで、消費行動の変化 (第203話 新型コロナウイルス拡大 注目される「巣ごもり消費」) や企業活動の変化 (第205話 世界で加速するICT化 企業のデジタル投資に注目) などを見てきましたが、今日はまた別の視点で、「原油」に注目してみましょう。

T:原油と言えば、4月に原油価格の下落が大きく報道されましたね。

神様:4月20日にニューヨーク商業取引所に上場しているWTI原油先物(20年5月限価格)が史上初のマイナスとなったことを報道したものです。「WTI原油先物」は取引量や市場参加者が圧倒的に多いことから、原油価格の代表的な指標とされています。

T:原油価格の下落は、新型コロナウイルスの世界的な感染が影響しているのですよね?

神様:もちろんです。世界的な感染拡大により、中国、米国や欧州の各地でロックダウン(都市封鎖)が行われました。経済活動は停滞し、原油の需要も減少したことが原因です。

T:4月には一方で、石油輸出国機構(OPEC)加盟国やロシアなどの非加盟国の主要産油国で構成する「OPECプラス」が過去最大の協調減産をすることで最終合意しました。

神様:しかし、原油の貯蔵施設のキャパシティが限界に迫っていたこと、そして、5月限価格の原油先物の取引最終日が4月21日に迫っていたことが、マイナスとなった背景にはあります。投機筋などは、取引最終日までに決済しなければ原油現物を引き取らなければなりません。原油現物を引き取った場合、保管費用などを考慮しなければなりません。そのため、マイナス価格、つまり、お金を支払って売却しなければならない事態が発生した、ということです。

T:異常な事態ですね。それだけ現在は原油を使用する機会が減っているということですね。

神様:とは言え、原油から精製される石油は様々な場面で利用されているのも現実です。石油が最も多く消費されている用途は何かご存知ですか?

T:やっぱりガソリン、軽油などを使用する自動車でしょうか?

神様:概ね正解です。用途としては輸送用が最も大きいのですが、輸送用には自動車だけでなく、飛行機や船も含まれます。その他の用途としては、家庭や商店用、鉱工業などの産業用、化学製品の原料用、火力発電などの電力用などがあります。

T:この先、経済活動が再開されれば需要も回復すると思われますが、感染再拡大のことを考えると、先行きは不透明ですね。

神様:ですから、この状況で注目できる企業を考えると、原油安がメリットとなる企業ではないでしょうか。

T:石油を多く利用している企業は、原油安によってコストの低減効果が期待できる、ということですか?

神様:その通りです。先ほどの用途別で考えれば、例えば自動車やトラックは物流の要として欠かせない存在ですが、タイヤにも多くの石油が使われます。家庭・商業用では弁当やテイクアウトが増えていることから、弁当・惣菜用の容器の需要は増えていますよね。容器にも石油が使われていますよ。

T:なるほど。この状況下で原油安が業績メリットになる企業、たくさんありそうですね。探してみたいと思います。

(この項終わり。次回6/3「「アフターコロナ」はサイバーセキュリティに注目」掲載予定)

投資・相続のご相談は
いちよし証券へ

全国の店舗にて、お客様の資産運用や相続についてのご相談を受け付けております。
お客様の人生設計に寄り添いながら、最適なご提案を行います。

PAGE TOP
PAGE TOP