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第208話 「アフターコロナ」駐車場ビジネスに求められる変化

2020.06.10

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。Tさんと神様は青空の下、公園を散歩しながら投資談義をしています。


神様:緊急事態宣言が解除され、私たちも少しずつ、こうして外を出歩くことができるようになりましたね。新たな感染拡大を防ぐために新しい生活様式が求められています。Tさんも様々なところで「コロナ前」との違いを感じているでしょう。

T:外出する際、マスクは必需品になりましたし、百貨店に行った際には入店時に検温を求められました。会議を行うときはソーシャルディスタンスを必ず意識するようになりました。社内だけならまだいいかもしれません。ホテルやホールなど、今後多くの人が集まるような催し物をする際は大変でしょうね。

神様:確かに、大きな変化を求められますね。

T:それから、都心は特にそうかもしれませんが、電車より車を利用するようになりましたね。

神様:ほう。そうですか。

T:都内に用事があり、短時間で済む場合は車で来ています。その方が気を遣わずにすみます。近年、都心部では駐車場が増えていますが、駐車場の利用の仕方も変わってくるのでしょうか。

神様:とてもいいところに目を付けましたね。それでは今回は駐車場について考えてみましょう。おっしゃる通り駐車場は、初期投資が少なく狭い土地でも活用でき、運用後の土地売却も容易なので、都市部では右肩上がりで増加しています。

T:私の周辺でも最近駐車場が増えているなと感じていました。

神様:一方で、電車など公共交通機関のアクセスに優れている大都市では、「附置義務駐車場」の利用率の低下が見られます。

T:附置義務駐車場とは何でしょうか?

神様:一定の面積以上の建築物の新増築の際、駐車場を設置しなければならない決まりとなっています。近年は、駐車場の需要と供給のミスマッチから規制が緩和されました。

T:ということは、駐車場は十分にあるということですね。

神様:しかし、懸念点があります。都内にはコインパーキングも点在しており、駐車台数は十分にあるはずですが、違法駐車などの駐車問題に関する要望、苦情、相談が絶えません。110番通報の中で、違法駐車などに関するものは全体の約12%を占めています。

T:なるほど。最近はフードデリバリーでロードバイクなどの自転車を利用する人も増えていますし、違法駐車が増えれば事故も増加しそうですね。

神様:その通りです。実際、都内の事故件数は近年減少傾向ですが、自転車事故の関与率は2016年以降、右肩上がりで増えています。路上駐車があると、自転車が歩道に侵入したり、車道に出て追い越すなどで危険が伴い事故の原因にもなります。違法駐車が自転車事故を誘引している懸念も少なくありません。

T:駐車場は十分にあるのに、路上駐車による事故は増えている。それならどうすれば良いのでしょう?

神様:駐車場を適切な場所に配置し、使いやすくする等、駐車場の質を高めることが必要となっているのだと思います。それが街の活性化にもつながるのではないでしょうか。

T:これから車の利用が増え、フードデリバリーの利用も増えるとなると、駐車場が使いやすくなり、違法駐車を減らすことは喫緊の課題となりそうですね。駐車場サービス事業者の取り組みに注目したいと思います。

(この項終わり。次回6/17「スーパーシティ法案成立 日本のIT人材不足の行方」掲載予定)

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