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第209話 スーパーシティ法案成立 日本のIT人材不足の行方

2020.06.17

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は駅前のカフェで投資談義をしているようです。


T:先日は神様から、AIやIoTなどのデジタル化とサイバーセキュリティについてお話していただきましたが (第207話 「アフターコロナ」はサイバーセキュリティに注目) 、国政では5月27日に「スーパーシティ法案」が成立しました。「スーパーシティ」というワードからは力強さと夢や希望を感じます。経済も明るくなって先進国をリードしていくといいですね。

神様:しかし、超高齢社会、少子化など、日本は課題先進国と言われています。それを解決するための、効率的でストレスのない「スマートなデジタル活用」が進んでいません。そこには古い規制や人材など、多様な要因が関係しています。

T:人材と言えば、IT人材が不足していると言われて久しいですが、今後はさらに不足が深刻化するのでしょうか?

神様:経済産業省によれば、2030年のIT人材の需給見通しは、供給が113万人に対し、需要は中位シナリオで158万人と見込んでいます。つまり、45万人不足する計算です。

T:45万人!あと10年でこのギャップを埋めることはできるのでしょうか?

神様:注意しなければならないのは、45万人の内訳です。例えば従来型のIT人材がAIやIoTなどの「先端IT人材」へ1%転換したとすると、先端IT人材の不足は55万人となり、従来型IT人材は10万人余ると見込まれています。

T:つまり、これまでと同じようなシステム開発や保守・運営をするITエンジニアがスキルチェンジをして先端IT人材へ転換する割合が少なければ、一部では逆に人材が余るということですか。

神様:もちろん、全員がスキルチェンジすれば良いわけではなく、転換の割合が大きければ、従来型の人材も不足します。政府は先端IT技術の教育については危機感を持っています。日本に教えられる人材がいない場合は海外から技術者を招へいしなければなりません。

T:企業にとっては、社内での育成が難しいと判断すればフリーランスなどを活用する動きも高まるかもしれませんね。教育も含めて、人材のマネージメントやマッチングを支援する企業もより注目されそうですね。

神様:現在も先端IT人材は争奪戦の様相です。企業とのマッチングだけでなく、フリーランスのエンジニアが働きやすい環境を用意することも重要になってくるでしょう。一つの企業にとらわれない新しい働き方も加速するかもしれません。今後のIT人材の支援企業に期待したいところですね。

(この項終わり。次回6/24「人手不足解消へ求められるITサービスとは?」掲載予定)

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