第241話 初診も解禁へ コロナ禍で急成長する「オンライン診療」
株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、下町の茶屋で投資談義を行っています。
T:緊急事態宣言から1カ月が経過し、日々発表される新規の陽性者数もようやく減少傾向になってきました。日本でのワクチン接種もいよいよスタートしますね。
神様:ワクチン接種は、まずは医療関係者から始まります。コロナ禍の最前線で戦っている方々が、ワクチン接種によって少しでも不安が取り除かれることを期待したいですね。
T:そう言えば、コロナ禍において医療の現場は大きく変化しました。医師をはじめとした医療従事者の感染を防ぐためにも、コロナ禍以前に想定していたより速いペースでデジタル化が進んでいます。
神様:「オンライン診療」ですね。昔は遠隔診療とも言われていました。今日はその話をしましょうか。Tさんは、オンライン診療を受けたことがありますか?
T:私はまだないです。パソコンやスマートフォンのビデオ通話によって、医師の診察を受け薬も処方してもらうほか、会計も電子決済で行い、近所の薬局で薬を受け取れる等とても便利ですよね。

神様:そうですね。コロナ禍以前から、政府ではオンライン診療のあり方について検討が続いていました。確かにオンライン診療は便利ですが、安全性・信頼性に配慮したものでなければなりません。そのため初診は必ず対面で診察を受けることが求められていましたが、コロナ禍において、時限的に初診もオンライン診療を原則解禁しています。
T:確かに、せっかく便利であっても、画面ごしの診察で重大な疾病を見逃してしまっては意味がありません。また、本当に診察者が信頼できる医師なのか、また、患者も本人なのかがわからないまま診察するのも問題ですよね。
神様:おっしゃる通りです。患者が安全に診療行為を受けられることは「安全性」に関する問題ですし、本人確認など正しい医師・患者関係において診察を受けることは「信頼性」に関する問題です。どちらもミスがあっては命にかかわる問題になりかねません。
T:一歩間違えば訴訟問題にもなりますね。
神様:しかし、新型コロナウイルスはすぐになくなるものではありません。現在、政府では、安全性・信頼性を考慮した上で、オンライン診療の初診を含めた原則解禁を検討しています。
T:感染症のリスクを考えるとうれしいですし、通院の時間や待ち時間も短縮できますよね。デジタル機器を自由に使える若い人たちには向いていると思います。
神様:実際、調査によると、これまでオンライン診療を利用した人は全体の11.5%で、若い世代が多いようです。一方で、今後利用したいと思う人は全体の半数で、特に60代が多いようです。今は高齢者でもインターネットリテラシーが高い人も多い時代です。どの世代もオンライン診療に前向きのようですね。

T:誰でも気軽に使えるような、使いやすいオンライン診療支援サービスも期待したいですね。日本の医療環境は進んでいると思いますが、その中でどのように発展していくのかが楽しみです。
神様:オンライン診療は、地方の医師不足、専門医不足を補う役割も考えられており、日本のデジタル化の腕の見せ所だと思います。また世界では、オンライン診療市場の規模は2020年の推定387億米ドルから2025年までに1,917億米ドルに達し、年平均37.7%で成長すると予想されています。今後のオンライン診療の発展に期待しましょう。
(この項終わり。次回2/24「コロナ禍「タッチレス」でも注目 センサーの活躍増える」掲載予定)
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