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第240話 日本に強み 電気自動車普及の鍵を握るパワー半導体とは?

2021.02.10

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、天気の良い中、人通りの少ない公園を散歩しながら投資談義を行っています。


T:新型コロナウイルスの感染拡大による2回目の緊急事態宣言が、東京都、大阪府など10都府県で3月7日まで延長されました。我慢の日々に気が滅入りますが、こうして外を散歩すると良い気分転換になりますね。

神様:世界では着々とワクチン接種が進んでいます。あともう少しの辛抱ですよ。

T:それにしても株価は相変わらず高いですね。

神様:1月末の米株式市場では、コロナとは直接関係ない一部銘柄での投機的な動きが影響し、約3カ月ぶりの下落幅を記録しました。それを除いては、ワクチンへの期待の高さもありますし、国内では四半期決算発表が始まり、半導体関連を中心とした好業績企業の銘柄を中心に今後も堅調に推移すると思われます。

T:何とかコロナを収束させ、3度目の緊急事態宣言はないようにしたいですね。

神様:さて、昨年末もお話ししたように、半導体は今後も伸びる可能性が高いです (第234話 2020年はデジタル化大躍進 半導体市場の成長は続くか?) 。あわせて今後は、気候変動問題など環境へのアプローチがとても重要なものとなります。Tさんは、半導体と環境、この2つをかけ合わせた事業として何に注目しますか?

T:やはり自動車産業でしょう。2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けて、CO2を排出するガソリン車から電気自動車(EV)への転換が進んでいく中で、半導体の果たす役割はさらに大きくなると思います。

神様:そうですね。私もそう思います。EVの普及は世界的に進められていますが、特に欧州では、2021年以降販売される新車のCO2排出量が厳しく制限される新規制がスタートしました。自動車メーカーは規制をクリアするため、EVやハイブリッド車など電動車の販売を増やす傾向にあります。今後、技術革新に伴って生産コストの低下が進めば、2030年ごろにかけてEVの普及が加速すると見られています。

T:その技術革新として期待が寄せられているのが、半導体ですね?
 
神様:おっしゃる通りです。EVの普及に伴い需要拡大が見込まれる部品のひとつに「パワー半導体」があります。これは、高い電圧、大きな電流を扱うことができる半導体で、家電向けから、工場、車載、鉄道、発電など様々な用途があります。EVでは、駆動モーターの制御やバッテリーの充電などに使用されます。最近では、炭化ケイ素を原材料とする高性能なパワー半導体の活用が増え始めています。これまでのシリコン系半導体と比べて電力の変換効率が向上し、駆動モジュールや車載充電器などの小型化のほか、電池容量の削減にもつながり、生産コストの削減に貢献すると見られています。

T:確か、こういった半導体は日本の企業が強い印象があります。
 
神様:その通りです。パワー半導体は日本のメーカーが強みを持っている分野であり、国内に多くの優良な企業があります。今後、EVの普及が本格化する中で、業績を拡大するだけでなく、世界的な企業に成長する可能性もあります。

T:今後の成長が楽しみな分野です。成長に期待したいです。

(この項終わり。次回2/17「初診も解禁へ コロナ禍で急成長する「オンライン診療」」掲載予定)

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