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第243話 健康志向・食糧問題の解決も 注目集まる「代替肉」とは?

2021.03.03

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、東京湾の見えるカフェで投資談義を行っています。


T:先日、神様に紹介していただいた自然食カフェに行ってきました。お肉料理はすべて大豆を使った”代替肉”でしたが、味もおいしくてとっても満足しました。最近の代替肉は進歩していますね。

神様:楽しんでいただけて良かったです。Tさんのおっしゃる通り、ここ最近は代替肉が注目を集めており、国内外の企業が活発に開発を進めています。

T:以前は完全採食主義者、いわゆるヴィーガンの人たち向けの食品というイメージでしたが、最近は健康志向の人たちに幅広く好まれていますね。どういった要因で注目されるようになったのでしょうか?

神様:要因のひとつは、世界保健機関(WHO)から発表されたことに基づいています。2015年、WHOの外部組織である国際がん研究機関(IARC)で、牛・豚などの赤肉、ハムやソーセージなどの加工肉の人への発がん性への評価が行われ、加工肉については「人に対して発がん性がある」、赤肉については「おそらく人に対して発がん性がある」と判定されました。

T:え、肉を食べるとがんになるのですか?

神様:まあ落ち着いてください。赤肉や加工肉を大量に摂取する習慣があると、大腸がんになるリスクが増すという評価です。日本人の場合は、欧米に比べて赤肉や加工肉の摂取量は少ないですから、平均的な量であれば影響は少ないと考えられています。健康な食生活を心がけていれば心配はいりません。

T:そうですか。それを聞いて安心しました。しかし欧米など肉をたくさん食べる習慣がある人は注意が必要ですね。

神様:そうですね。また、世界には宗教上の理由で肉を食べられない人たちも数多くいますが、代替肉が需要の受け皿となっています。代替肉として主に用いられる原料は大豆です。大豆は「畑の肉」と言われるほど良質なたんぱく質や栄養が豊富です。日本人にとってもなじみのある食材ですね。ところで、もうひとつ世界的な要因があるのですが、わかりますか?

T:環境問題・食糧問題ではないでしょうか?大豆を使う代替肉は、牛肉や豚肉よりもコストが安くすみます。

神様:さすが、正解です。代替肉は、世界人口の増加に伴う食糧問題の解決策として注目されています。大豆の収穫までと比べ、牛を育てるには生育期間が長く、必要コストも高くつきます。更に、環境問題の点から見ても、牛が成長するまでに掛かる自然への負荷と比べ大豆は少ないと言われています。一方で国連の調査によると、人口の増加によって2050年にはたんぱく質の需要が現在の2倍になるという予想があります。

T:以前お話を聞いた「仮想水」の問題に通じますね (第231話 世界の「水問題」は誰の問題か?「仮想水」とは) 。大豆が食糧危機を救う地球環境にも人間にも優しい素晴らしい食品ですね。

神様:しかし一方で、主原料となる大豆の確保が課題となっています。日本国内だけで見ると、2019年度の大豆の国内需要367万トンに対して国産大豆は22万トン。自給率はわずか約6%と、とても低いのが現状です。

T:輸入に頼らざるを得ない状況ですね。ここは代替肉の開発力の方に力を入れたいところですね。
 
神様:日本国内の大手食肉メーカーなどでも、近年の健康志向から代替肉を販売し始めています。市場規模はこれから拡大することが予想されますので、様々な企業を見てみると良いでしょう。

(この項終わり。次回3/10「コロナ禍の時間を有効活用 余暇サービスの多様化進む」掲載予定)

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