第258話 「グリーン×デジタル」日本強み持つリチウムイオン電池に期待

2021.06.23

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、ホテルのラウンジで冷たい飲み物を飲みながら投資談義を行っています。


T:ようやく関東地方も梅雨入りしましたね。今年は平年より7日遅いそうです。

神様:これから豪雨災害が増える時期になります。備えをしっかりしておきましょう。

T:世界的には、ワクチン接種が進んでいます。引き続き経済活動の正常化が進むことを期待したいです。

神様:ここ最近は、景気のバロメーターとも言われる原油や銅の市況が高値圏にあります。経済正常化に伴い原油・銅の需要が増加するとの期待が市況上昇の主な背景です。世界的には金融緩和政策が維持されるとみられ、引き続き、株式への資金流入が後押しされるでしょう。

T:我々はアフターコロナに目を向けていますが、主なテーマはやはり、デジタルや環境でしょうか?

神様:もちろんです。6月11日から13日まで英国で開催されたG7コーンウォール・サミットで菅首相は、「グリーン」と「デジタル」が新型コロナからの「より良い回復」を実現する上での鍵であると述べました。また、気候変動を始めとする環境問題はG7の重要議題であり、脱炭素社会に向けた取り組みについて話し合われました。デジタルと環境この2つが今後の重要テーマであることは間違いありません。例えば、日本が大きく貢献できる分野として、リチウムイオン電池(LiB)が挙げられます。

T:リチウムイオン電池と言えば、2019年に旭化成名誉フェローの吉野彰さんがノーベル化学賞を受賞したことが記憶に新しいです。現在はスマートフォンやノートパソコンなどのモバイル機器のバッテリーとして欠かせないものになっています。今後は電気自動車での活用など、脱炭素社会に大きく貢献することが期待されていますね。

神様:その通りです。車載用のリチウムイオン電池の市場は順調に拡大しています。2020年における世界市場規模は、容量ベースで前年比25.9%の増加となりました。矢野経済研究所によれば、2030年には2020年比で4.6倍に拡大すると予測しています。

T:10年で約5倍の市場規模とは…急拡大ですね。

神様:リチウムイオン電池は、イオンが移動する化学反応により充電と放電が繰り返される仕組みで、主に正極材、負極材、電解液、セパレータの4部材で構成されています。発熱や発火などの課題がありましたが、最近、それらの課題を克服する「全固体電池」と呼ばれる新しい技術も開発され、幅広い応用が期待されています。

T:各国の政府が相次いで温室効果ガスの排出量削減目標を設定しています。欧州では、2030年における乗用車のCO2排出量を、企業平均で2021年目標比37.5%の削減が求められます。自動車メーカー各社では、電気自動車の販売比率を高めることで規制をクリアしようとしていますから、リチウムイオン電池の需要は今後さらに高まっていくでしょうね。

神様:矢野経済研究所では、2025年のリチウムイオン電池主要4部材の世界市場規模を、2020年見込比で83.1%増の366.9億ドルと予測しています。2025年以降はさらに拡大することが予想されます。重要なことは、リチウムイオン電池の主要部材では日本の化学メーカーが世界首位となるなど日本が強みを持つ分野であることです。また自動車メーカーでも車載用リチウムイオン電池の開発が進んでいます。今後の成長を見据え、関連企業による生産能力増強などへの取り組みが活発化しています。日本にとって非常に楽しみな分野であると言えるでしょう。

T:今後のビジネスチャンスの拡大に期待したいと思います。

(この項終わり。次回6/30「コロナ禍を乗り越えられるか?コンビニは新しい成長期へ」掲載予定)

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