第260話 「骨太方針2021」決定 危機的な少子化に打つ手はあるか?

2021.07.07

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、鎌倉であじさいの咲く道を散策しながら、投資談義を行っています。


神様:6月に入り、政府では”ポストコロナ”を見据えた動きが見られました。政府は6月18日、「経済財政運営と改革の基本方針2021」、いわゆる骨太方針2021を閣議決定しました。もう内容はご覧になりましたか?

T:はい。今回の骨太方針では、成長を生み出す4つの原動力として、グリーン、デジタル、活力ある地方創り、少子化対策を重点的な投資対象として掲げています。

神様:今日はその中でも「少子化対策」に注目してみましょう。骨太方針では少子化対策について、「結婚・出産の希望を叶え子育てしやすい社会の実現」、そして「未来を担う子供の安心の確保のための環境づくり・児童虐待対策」を大きな柱としています。

T:少子化については先月もお話しましたね( 第253話 少子化にコロナ禍…試される学習塾業界の行方 )。少子化の背景には、未婚化や晩婚化、有配偶出生率の低下など、結婚して子どもを産み育てることに対して希望が持ちにくいという、厳しい現状があるのでした。

神様:もう一度、少子化の背景を整理してみましょう。厚生労働省は6月、2020年の人口動態統計を公表しました。一人の女性が15歳から49歳までに産む子どもの数の平均である合計特殊出生率は1.34と5年連続で低下。さらに2021年4月の速報を見ると、2021年1月から4月の出生数はいずれも2020年を下回っています。もし2021年の人口動態統計で出生数が80万人を下回ると、これは従来の予測より約10年も早い事態なのです。

T:危機的な状況ではないですか。やはり新型コロナの影響が大きいのでしょうか。

神様:コロナの影響もありますが、それだけではないでしょう。内閣府では過去に、日本の少子化の背景について言及し、なぜ少子化が深刻化しているのか?という問いに答えています。戦後の日本は経済成長による所得水準の向上などにより、豊かな生活環境が整いました。多産多死から少産少死へ人口転換が進み、第一次ベビーブーム、第二次ベビーブームを経て人口の自然増加率をゼロとする静止人口を目指す考え方が普及し、出生数が減少し続けるようになりました。一方で1980年以降では、デフレが慢性化し、不安定な低賃金の非正規雇用者の増加などが未婚化を促進しています。さらに、女性の就業率の高まりや結婚・出産の機会費用の増大、結婚・出産に対する価値観の変化などもあり、非婚化・晩婚化・晩産化が進んでいるのが現状です。

T:女性の社会進出や男性の育休など仕事と子育てを両立できる環境の整備、そしていじめ、虐待、貧困など子どもをめぐる安心できる環境づくりなど、これらは現代日本の課題が複雑に積み重なり、少子化という結果に結びついているように思います。

神様:骨太方針2021では、子どもに関する様々な課題に対応するため、「こども庁」の創設に向けて検討チームを立ち上げることとしており、今後の動向が注目されます。働き方改革などと平行して、重要な施策となるでしょう。また、人口動態統計によると2021年の婚姻件数は前年と比較して伸びていません。コロナ後の結婚したい、出産したいという希望を叶える社会づくりのための政策の実施も急がれます。

T:コロナ禍では結婚式の延期や中止も多かったですね。3回目の緊急事態宣言では、結婚式開催の自粛要請自体はなく、人数の制限や酒類の提供はしない形で開催可能であったようです。ひょっとしたら、ブライダル業界からの働きかけや、人口減少を少しでも抑えたいための配慮などがあったのかもしれませんね。

神様:コロナ禍で結婚組数は停滞していますが、まだ式を挙げていないカップルの数は相当数あると思われます。晩婚化により平均結婚年齢は上昇し、結婚式費用も上昇傾向です。ポストコロナにおいて、希望出生率「1.8」に向けて、結婚のしやすさ出産のしやすさをどう実現していくのか、ブライダル業界や子育て業界にとっては、今後の政策的な追い風を期待しつつ、新しい取り組みが望まれます。

T:少子化対策は苦難の道ですが、まずはコロナ後の動向に注目したいと思います。

(この項終わり。次回7/14「将来の農薬は減る?増える? 世界の農薬需要を考える」掲載予定)

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