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第27話 その株は割安か?割高か?

2016.11.30

株の神様に株式投資のコツを教えてもらっているTさんは、そのポイントを、奥さんA子さんや高校生の娘Y、中学生の息子Sにも教えるようになりました。


A子:買物と同じで株もお得な時に買いたいわよね。でも、どのように割安かどうか判断するのって、簡単なようで難しそうだわ。

Y:単純に株価が安いものが割安で、高いのが割高とも言い切れないものね。安いのがもっと安くなっちゃうこともあるし。高いものが、後々もっと価値が上がるかもしれないしね。

T:割安と割高を判断するには、株価に関わる指標をいくつか覚えるといいんだ。投資しようとする株式が「割安」か「割高」かの判断基準の一つにできるんだよ。

A子:今が「買い」時か、控えた方がいいか、わかるということね。

T:そう。代表的なものとして、PER(株価収益率)がある。決算短信の当期純利益(税引き後利益)を、その会社の発行済株式数(発行済株式総数-自己株式数)で割ると、1株当たり利益(EPS)が計算できるよね。この1株当たり利益に対し、株価が何倍まで買われているかを表したのがPER(Price Earnings Ratio)で、計算式は株価÷1株当たり利益となり、単位は倍となる。

S:??? 何だかむずかしいなー

T:一般的に、PERが低ければ低いほど、会社が稼ぐ利益に対して株価が割安ということなんだ。例えば、同じ業界で、PERが5倍の会社は10倍の会社に比べると割安だね、というように使う。

Y:低ければ低いほどいいってこと?

T:いい悪いを客観的に判断する基準というよりは、相対的な基準なんだよ。例えばある会社の1株当たり利益が100円、現在の株価が1,000円ならPERは10倍だよね。この会社のPERが以前は5倍だったら、割高になっている。逆に15倍だったのが10倍になったのなら割安になっていると言えるわけだ。

A子:会社の人気が出て、株価が上がるとPERが上がるから、必ずしも悪いことではないのね。ただ割高になってきたと。

T:その通り。一般的には、将来の成長性が高そうな企業は比較的PERは高く、逆の場合は低くなっている。同じ業界の中で似たような事業内容や財務内容で、PERが高ければ割高、低ければ割安と考えられる。

Y:業界によっても水準が違うのかしら?

T:そうだね。一部上場企業の平均は相場の変動にもよるけど15倍~20倍位でおおよそ推移している。ただ、ITやバイオ等のベンチャー企業で、中には100倍!という会社もある。一方、需給のバランスにより収益に大きな変動がある繊維、鉄鋼、セメント、紙・パルプ、石油化学といった、いわゆる市況産業と呼ばれる業界はPERが低い場合が多いね。

S:何だか社会科の勉強になるね。

T:そうだね(笑)。いずれにしてもPERは客観的な価値基準を示すものではなく、市場平均や同業種、同業他社、その会社における過去のPERや将来の予想PERなどと比較して判断する相対的な基準だと覚えておくといいね。

(次回「その株は割安か?割高か?」その2にて他の判断指標を紹介します)

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