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第271話 アフターコロナでも拡大続く 電子書籍の未来に期待

2021.09.29

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、下町の甘味処でお茶を飲みながら投資談義を行っています。


T:新型コロナウイルス感染の第5波が全国的にようやく収まってきました。政府は9月末にも緊急事態宣言の全面解除を行いそうです。

神様:国民のワクチン接種も過半数を超えましたが、今後の第6波を懸念する声もあります。余談を許さない状況はしばらく続くでしょう。

T:簡単にはアフターコロナとはいかないでしょうね。

神様:しかし、経済活動は前進を続けています。今日は電子書籍市場を見てみましょう。

T:電子書籍市場と言えば、コロナ禍の巣ごもり需要により拡大を続けているのですよね。

神様:はい。これは一過性の巣ごもり需要という見方もありますが、電子書籍市場はコロナ禍前から拡大していましたから、感染収束後も拡大傾向が続くとみられます。全国出版協会・出版科学研究所による出版市場規模の推移を見てみましょう。

T:出版業界全体としては、市場規模は年々横ばいか若干下がっているようですね。紙出版が縮小していく中で、2020年は電子出版が伸びたため、全体では2019年より伸びています。そして、電子出版比率は年々右肩上がりで上昇しています。

神様:情報通信、デジタル技術、メディアに関する情報を発信するインプレスの調査によると、2020年度の電子書籍市場は、前年度比で28.6%増の4,821億円に拡大したと推計されています。2025年度には6,700億円を超える市場に成長すると予測しており、電子書籍市場の拡大は今後も続く、一過性ではないものと示されています。

T:電子書籍市場規模の推移を見ると、コミックが圧倒的に多いですね。今後もこの傾向が続くのでしょうか?

神様:それはわかりません。しかし、最近興味深い話題がありました。Tさんは「NFT」をご存知ですか?

T:NFTは、non-fungible token、日本語では「非代替性トークン」と呼ばれる、最近注目のトピックですね。デジタルデータは本来コピー・複製が容易ですが、ブロックチェーン技術を活用することで、デジタルデータにも「所有する権利」の確保が可能となりました。それにより、アナログのアート作品などと同様に、デジタルアートなどで所有権を求め高額で取引されるようになりました。

神様:その通りです。NFTによって、紙書籍やアート作品のように、個々のデジタル書籍にも価値を作り出すことが可能となりました。紙書籍を電子書籍へ置き換えることによるデメリットが解消されつつあります。まだ登場したばかりで未発達のところもありますが、今後電子書籍市場に大きな影響を与える存在となるかもしれません。今後の展開に期待しましょう。

T:書籍の電子化は、コロナ禍での生活様式の変化をきっかけに流れが加速しています。今後も電子書籍の配信サービスの拡大、出版社とつなぐ取次企業やアプリ広告を提供する企業の活躍も期待できそうですね。NFTも含め、未来が楽しみな業界だと思います。

(この項終わり。次回10/13「50歳代に人気 今なぜバイク熱が高まっているのか?」掲載予定)

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