第282話 実用化はいつ?次世代コンピュータ「量子コンピュータ」とは?

2021.12.22

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内のカフェで投資談義を行っています。


T:最近、巷では「量子コンピュータ」の話題がよく上ります。次世代コンピュータと言われていますが、私にはなかなか理解が難しく、これはどんなものなのでしょうか?

神様:量子コンピュータとは、量子力学の現象を情報処理技術に用いて、従来型のコンピュータでは対応できない膨大な量のデータ処理や複雑な計算の回答を高速で導き出せるコンピュータです。

T:量子力学の現象とは、どんなものでしょうか?

神様:量子力学とは、ミクロな世界を対象とした物理学です。例えば、電子や原子など、目には見えないとても小さなスケールの世界では、我々の目に見える世界では考えられない現象が起こるのです。Tさんは、「光」は波だと思いますか、それとも粒子だと思いますか?

T:光は電磁波とも言いますし…波ですか?

神様:光は波でありますが、粒子でもあるのです。実際に過去の実験によって、光が波であることと同時に粒子であることも証明されています。こういった波と粒子の性質をあわせ持ったもののことを「量子」と呼びます。目に見える世界では考えられないことです。そして、この量子がとても不思議な動きをするのです。

T:それがコンピュータになるのですか?

神様:はい。現在世界中で、量子の性質をうまく活用して次世代コンピュータを作ろうとしています。例えばGoogleは2019年、量子コンピュータによる「量子超越性」を実証したと発表し、英国の科学誌に論文を掲載しました。どんなに高性能なコンピュータでも、計算できる速さに限界があります。現代のスーパーコンピュータで計算し、数万年など長い時間がかかってしまう場合もあります。それを量子コンピュータが数分で計算してしまったとき、量子超越性が示されたと言います。Googleの論文ではその量子超越性が実証されたとして大きな話題となりました。

T:ということは、もう量子コンピュータができているのですか?

神様:残念ながら、現在の量子コンピュータは「NISQ(ニスク)」と呼ばれるまだまだ不完全なものです。実用に耐えうる量子コンピュータの登場までには長い時間がかかると言われています。しかし、米国や中国を中心に巨額の投資によって研究・開発が行われており、今後新たなブレイクスルーが起こることが期待されています。

T:それで盛り上がっているのですね。そうなるといつ実用化できるのかが気になりますが。

神様:矢野経済研究所によると、2021年度の国内の量子コンピュータ市場規模を139.4億円としており、2030年度には2,940億円に拡大すると予測しています。ハードウェアの進化、アプリケーションの開発や活用領域の発掘が進み、市場が急速に拡大すると見ているのです。しかし実用化する時期については、地道な研究の積み重ねの上に、一歩一歩進歩していくとしか言えない面もあります。

T:どんな分野で活用されるのでしょうか?

神様:量子コンピュータの活用が見込まれる用途は多岐にわたります。現在は自動運転などの交通、物流、創薬、金融サービス、化学等の分野において、実証研究が進められています。また、AIを用いた機械学習の成果を飛躍的に高める技術としても注目されています。

T:なるほど。まさに、これから欠かせない分野で活用される技術ですね。国際的に激しい開発競争が繰り広げられている理由がよくわかりました。

神様:日本でも、独自方式の開発が進み実用化を目指しています。各企業や研究機関が協力して研究・開発を進めているので、調べてみると良いでしょう。量子コンピュータの潜在力はスーパーコンピュータを大きくしのぎます。実用化されれば新たなイノベーションを開くツールとなるでしょう。また、量子コンピュータだけでなく、現在さまざまな量子技術が研究・開発されています。政府も力を入れていますので、どんな技術があるのかも調べてみると面白いと思います。

T:これから量子コンピュータの時代がやってくると信じて、実用化後の世界が楽しみです。

(この項終わり。次回12/29「アフターコロナの2022年 働き方はスキルシェアの時代へ」掲載予定)

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