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第289話 急成長する「AI画像認識」 活用シーン増える

2022.02.16

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内のカフェで投資談義を行っています。


神様:今日はAIの話をしましょう。今さらの質問ですが、Tさんは「AI」とは何かご存知ですか?

T:AIは人工知能です。ディープラーニングなどを活用し、かつてはコンピューターでは実現できなかった精度の高い推測や予測を行うことです。

神様:では、ディープラーニングとは何か、答えられますか?

T:…それは、難しい話ですね。囲碁や将棋などで、人間に打ち勝つようなすごい技術である、ということしか私にはわかりません。

神様:そういう人は多いと思います。「ディープラーニング」とは深層学習とも言います。深層学習は、多層ニューラルネットワークを用いた統計的な手法の一つです。ベイズ統計など、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。しかし、その内容はとても複雑で、実は、研究者にも仕組みがすべて判明しているわけではないのです。

T:え、わかっていないのに活用できるのですか?

神様:出力される結果として精度の高いものが出れば、活用はできますから。

T:ある意味では、すでに人知を超えているようにも見えますね。

神様:ディープラーニングを本当に理解しようとすれば、高度な数学や統計学への理解が必要になります。それを活用するとなると、ソフトウェアなどの技術的な知識や経験も必要になるでしょう。AIツールなど誰もが活用できる形でサービスが提供されているから使えるのです。このことは覚えておいてください。

T:確かにその通りですね。

神様:さて、AI活用シーンの一つに、AI画像認識があります。画像認識とは、写真や映像などの画像データに映る対象物の特徴を捉え「どのような物体であるのか」を機械的に判別する技術ですが、AIにより精度の高い画像判別ができるようになってきました。

T:以前報道で、防犯カメラにAI画像認識を活用し、指名手配犯などの確保に役立てるかどうかの議論がありましたね。これも精度の高い画像判別ができるようになったからできることですね。

神様:AI画像認識の活用方法は多岐に渡ります。デロイト トーマツ ミック経済研究所によると、2021年度のAI画像認識市場は前年度比で62.8%増の322億円になると予測しています。この伸びは続き、2025年度には2,300億円まで拡大し2021年度からの年平均成長率は63%という、高い成長を見込んでいます。これまで人間の目視により行ってきた多様な業務がAIに取って代わると見ているのです。

T:日本では2025年に向けて各企業のDXが急ピッチで進んでいく( 第273話 少子高齢化で急がれる保険業界のDX )と思いますが、その中でAI画像認識も急速に浸透していくということですね。どんな分野で活用されるのでしょうか?

神様:年度別の企業のAI導入状況を見ると、AIを導入する企業が年々増加していることがわかります。例えば工場の製造ラインでの不良品検知への活用、インフラ設備における劣化箇所の検出、小売店では来店客分析によるマーケティングデータへの活用のほか、自動車では車載カメラやドライブレコーダへの活用などがあります。しかし導入割合は15%程度です。普及余地はまだまだ大きいのです。

T:さらなる普及のためには専門人材が必要ということですね。なるほど、それで冒頭のディープラーニングを本当に理解している人材が必要ということですね。しかしそれを確保するのは難しい。ジレンマですね。

神様:専門エンジニアだけでなく、ハードウェアなど画像認識を活用するための環境整備も大切です。現状では、ユーザー企業側で専門人材の確保や環境整備を実現することは、体力のある企業でない限り難しいです。そのため、そういった人材を抱えるサポート企業の活躍や、人材育成のための新しい取り組みが必要でしょう。世界的な市場の成長は待ってはくれません。AIなど高度ITの活用は日本にとって大きな課題です。

(この項終わり。次回2/23「ゴジラもウルトラマンも現役 拡大続けるキャラクタービジネス」掲載予定)

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