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第296話 世界を変えたウクライナ侵攻 注目される防衛費・防衛産業

2022.04.06

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、公園を散歩しながら投資談義を行っています。


T:すっかり暖かくなってきましたね。天気も良く、絶好のお花見日和です。

神様:はい。穏やかな日差しが心地よいです。

T:ロシアやウクライナをめぐる世界情勢を見ると、平和のありがたさを身に染みて感じます。ウクライナ情勢は私たちにとって対岸の火事ではありませんからね。

神様:ロシアによるウクライナへの侵攻は、欧州を中心に第二次世界大戦以降で最も深刻とも言える状況をもたらしました。日本では、岸田首相が防衛大学校卒業式での訓示で「展開次第では、世界も、そして我が国も、戦後最大の危機を迎える」と述べました。国際秩序を脅かす事態は決して許されるものではありませんね。

T:日本は、北朝鮮、中国、ロシアと接しています。日々刻々と状況が変わる中で私たちがどう判断し、行動するのか、それによって情勢がどう変化するのか、一つ一つの行動が問われているのだと感じます。

神様:そうですね。ウクライナをめぐる状況は、日本における今後の国家安全保障戦略や防衛計画大綱などの見直しにも影響すると考えられます。日本周辺での北朝鮮、中国などの地政学リスクが高まって久しいですが、有事に国民の命と暮らしを守るためにも、国土防衛の基盤強化に対する議論が活発化することになるでしょう。

T:そうなると、注目を集めるのは防衛費や防衛産業ですね。

神様:その通りです。例えば、防衛費について見てみましょう。令和4年度の日本の防衛関係費(当初予算)は、前年度比で553億円増の5兆1,788億円となりました。これは10年連続で右肩上がりでの増加です。一方で、2020年度の主要国の国防費を見てみると、国防費が実質国内総生産(GDP)に占める比率は、G7諸国やオーストラリア、韓国、ロシア、中国と比較すると日本が最も低いのです。

T:グラフで見ると日本とドイツの国防費は同じ程度ですが、対GDP比で見ると日本はドイツよりも低いです。ドイツは、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて対GDP比を2%に増額することを表明しました。また、米国も中国も2023年度の国防費を増額する見込みです。日本の低さがさらに際立っています

神様:岸田首相は3月3日の記者会見で、記者からの質問を受け、防衛力を抜本的に強化していくことを表明しています。今後新たな国家安全保障戦略などをどのように策定していくのかに注目が集まります。

T:国家安全保障戦略は2013年12月に策定されたもので、2022年中に新たな国家安全保障戦略として初めて改定されるとのことですね。改定内容についても、防衛産業が注目を集めることになりそうです。

神様:ロシアによるウクライナ侵攻は、世界の安全保障構造を大きく変える可能性があります。現在、各国において国防のあり方が問われています。日本だけでなく、世界の防衛産業が注目される事態です。株式市場でも中長期にわたるテーマとして取り上げられる展開が想定されるでしょう。

T:まずは一刻も早い停戦合意、そして平和の訪れを望みます。

(この項終わり。次回4/13「コロナ禍で歴史的低水準の企業倒産件数 今後の課題とは?」掲載予定)

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