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第299話 ”景気指標”建設機械の出荷好調が続く ロシア制裁の影響は?

2022.04.27

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都心にある喫茶店で投資談義を行っています。


神様:今日は、景気の先行指標とも言われる建設機械の出荷額の動向について見ていきましょう。

T:前回( 第275話 建設機械の出荷額がコロナ禍前の水準に回復 今後は? )は、昨年の11月に見ました。その時のお話では、2021年の建設機械出荷額がコロナ禍前を上回るか、同水準まで回復したのでしたね。

神様:その通りです。今回はその後の動向になります。4月1日、日本建設機械工業会から2022年2月度の建設機械出荷金額が公表されました。レポートによれば、2022年2月の補給部品を除いた建機出荷額は2,208億円となり前年同月比で22.2%増16カ月連続の増加となりました。

T:前回の増加からさらに増加が続いている、ということですね。

神様:はい。内訳を見ると、国内は前年同月比で2.1%増の681億円で4カ月連続の増加。海外への輸出は前年同月比で34%増の1,527億円と16カ月連続の増加となりました。

T:出荷額増加の背景は、前回と同様にコロナ禍からの経済活動の正常化ですか?

神様:そうですね。国内ではコロナ禍で前年同月が6%減となった反動があります。輸出では、海外でワクチンの接種が進み、経済活動が正常な状態に近づいたことが要因です。世界的にインフラ投資が活発で、建設機械が伸びています。また、銅などの資源価格が上昇していますが、その影響で、インドネシアなどでは鉱山機械が増加しています。

T:なるほど。資源高が鉱山の採算性を上げ、機械の新規受注が増えているということですか。世界の鉱山会社にとっては今がチャンスですね。

神様:建設機械の主力4機種の2021年4月から2022年2月の累計出荷額を見てみましょう。各機種とも前年同期を上回りました。コロナ禍前の2019年4月から2020年2月の累計出荷額と比べると、油圧ショベル、ミニショベル、トラクタが上回りました。また、建設用クレーンも2020年度を上回ってます。

T:着実に前回よりも上回っていますね。今後も増加が続きますか?

神様:2月に公表された日本建設機械工業会の建機需要予測によれば、2022年度は油圧ショベルを中心に続伸し、国内は公共投資の継続や民間設備投資の回復により微増。海外は北米、欧州、アジアの3大輸出先を中心にさらに増加するとの予測です。2021年度の建機出荷額は前年度比で26%増の2兆4,404億円、2022年度は2021年度見込比で5%増の2兆5,632億円と予測しています。建設機械の出荷好調は今後も続くでしょう。

T:気になるのはウクライナ情勢におけるロシアへの制裁などの影響です。影響はあるのでしょうか?

神様:日本は、欧米などの西側諸国と協調し、ロシアへの制裁を行っています。内容としては金融措置や貿易措置が中心ですが、特に貿易措置では、機械類、一部木材、ウォッカなどの輸入の禁止、石炭輸入のフェーズアウトや禁止を含むエネルギー分野でのロシアへの依存低減、さらに、ロシアの軍事関連団体に対する輸出、国際的な合意に基づく規制リスト品目や半導体など汎用品のロシア向け輸出、ロシア向け石油精製用の装置等の輸出に関する制裁などが含まれています。ジェトロによれば、世界的なロシアへの制裁措置による影響については、エネルギー資源高や世界の株式市場の影響などは考慮する必要がありますが、欧米や日本などへの影響は比較的小さいとの試算があります。しかし、引き続き慎重に見極めていく必要があるのは言うまでもありません。

T:なるほど。引き続き注視していきたいと思います。穏やかな平和が戻り、国内経済・世界経済がさらに活発化することを願います。

(この項終わり。次回5/11「拡大続く「リユース市場」 要因と今後の見通しは?」掲載予定)

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