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第308話 日本で増える「超富裕層」 高額商品の販売が好調

2022.07.06

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内のカフェで投資談義を行っています。


神様:さて、前回( 第307話 国民皆歯科検診へ 「歯の健康」は全身の健康につながる? )お話しましたが、6月に政府は重要な方針を決定しました。

T:6月7日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2022」いわゆる「骨太の方針」ですね。

神様:それに加えてもうひとつ閣議決定されたものがあります。それは「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」です。

T:「新しい資本主義」は岸田内閣のメインテーマとなっていますね。

神様:政府は「市場で解決できない外部性の大きな社会的課題について、この課題をエネルギー源と捉え、新たな成長を図る」こととしています。革新的な新規事業を生み出すスタートアップの起業を加速させること、グリーン・トランスフォーメーション(GX)やデジタル・トランスフォーメーション(DX)への投資を促進することのほか、特に注目されたのは「資産所得倍増プラン」の策定でしょう。

T:このプランはとても重要ですよね。投資がより身近になることですから。

神様:その通りです。実行計画に記載がある通り、日本の個人の金融資産2,000兆円のうち、その半分以上が預金や現金で保有されています。そのため、20年間での家計金融資産の伸びが欧米に比べて小さいという課題があります。個人の金融資産を貯蓄から投資へシフトさせることで、持続的な企業価値向上の恩恵が家計に及ぶ好循環を作ることが必要であると政府は考えているのです。

T:投資にはリスクがつき、せっかく貯めたお金が減ってしまうのではないかと考えている人は多いと思いますが。

神様:「投資」と「投機」は違います。資産をどうやって作っていくか、貯蓄だけでない多様な選択肢があるのです。具体的なプランの内容は年末までに明らかになるようですが、NISA(少額投資非課税制度)の拡充やiDeCo(個人型確定拠出年金)制度の改革のほか、国民の金融リテラシー向上のための施策も検討されているようです。

T:政府の施策に期待します。投資をする人が増え、投資がより身近なものになることを願っています。

神様:さて、こんなデータがあります。調査分析会社であるウェルスエックスの「Wealth-X_World Ultra Wealth Report 2021」によると、2020年でみた日本における総資産額3,000万ドル以上の超富裕層人口は、前年比で7.5%増の2万1,300人でした。これは米国、中国に次いで世界3位です。

T:3,000万ドルと言うと、日本円では約40億円ですね。

神様:1位が米国で10万1,240人、2位の中国は2万9,815人、4位以下はドイツ、カナダ、フランス、香港、英国、スイス、インドと続きます。実はコロナ禍もあり、スイスを除いた4位以下の国では超富裕層人口が前年比で減少となりました。日本、中国、米国の3か国は増加です。日本は資産運用ノウハウの向上などが超富裕層人口の拡大につながっているとみられています。

T:今後、資産運用ノウハウが共有され、投資がより活発になり、政府の目指す好循環が生まれると、富裕層もさらに増えていくことになりますね。

神様:そうなれば富裕層向けビジネスも活発になるでしょう。現在、高額品の販売が好調です。矢野経済研究所によれば、2021年の国内インポートブランドの小売市場は、前年比で13.6%増の2兆1,911億円と推計されています。2022年に入っても好調で、2022年5月の国内百貨店売上高は前年同月比で57.8%増、そのうち美術・宝飾・貴金属は前年同月比で103.9%増となりました。一方で中国では日本以上に超富裕層人口が拡大しています。海外の高級ブランド企業にとって、販売先として中国の魅力が高まり、日本に商品が入りにくくなっている状況も生まれているようです。今後の高額商品の販売において、新品・中古品に関わらず、商品調達力が成長力の差となるでしょう。

(この項終わり。次回7/13「大学生の高い就職内定率 求められる就活サービスとは?」掲載予定)

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