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第309話 大学生の高い就職内定率 求められる就活サービスとは?

2022.07.13

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、海の見えるカフェで投資談義を行っています。


神様:今日はこんなデータをご紹介しましょう。就職みらい研究所の調査によると、6月1日時点の2023年卒業見込み大学生の就職内定率は、前年同月比で4.6ポイント上昇し、73.1%でした。これは「6月選考開始が解禁」となった2017年卒以降では最高の内定率です。

T:現在の就活ルールでは、2017年卒から「3月1日以降に広報活動開始、6月1日以降に面接などの採用選考活動開始」となったのですよね。

神様:はい。学生の学業への影響が懸念されることから、2017年までは経団連が主導し、学生の就活ルールとして「採用選考に関する指針」を定めていました。就活期間をそれ以前よりも短縮し、大学3年生の3月から広報活動開始となりましたが、ルールを無視する企業が後を絶たず、2018年からは経団連に代わって政府が方針を定めています。政府は毎年度「就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議」を開催し、「就職・採用活動日程に関する考え方」をとりまとめ、各経済団体等へ要請を行っています。

T:現在就活している学生は、学生生活で新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けました。少子化で労働力が減少する中、コロナ禍の内定率への影響はなさそうですね。

神様:おっしゃる通り、コロナ禍中にありますが学生側が有利な「売り手市場」と言えるでしょう。もう少し細かく見てみましょう。文系・理系別に見てみると、文系の内定率が前年同月比で4.7ポイント上昇の68.9%。理系の内定率が前年同月比で4.2ポイント上昇し82.5%です。

T:文系理系ともに高いですが、やはり理系の内定率は高いですね。

神様:また、内定取得者のうち、2社以上から内定を得ている割合は19.0%です。こちらは、前年の2021年6月と同水準となっています。しかし、2022年は6月以降も上昇傾向にありますから2社以上の内定を得る学生の割合もさらに上がる可能性はあります。

T:なるほど。学生にもこの時期は余裕がありますから、これから2社以上の内定を得ることはできますね。企業側としては、複数の内定を獲得する大学生が増加することで、内定辞退の学生が増える懸念も高まりそうです。

神様:その通りです。企業では、DXの知見がある優秀な学生を採用したいというニーズが多くあります。需給にギャップがある状況で、採用人数計画が未達に終わる企業も少なくないと思われます。今後の対策として、企業側では学生に自社の認知と魅力を伝える機会を増やすこと、就労後のミスマッチを防ぐため早いうちにインターンシップ等に参加してもらい、学生との接点を増やすこと等が重要なポイントとなります。

T:来年度からインターンシップの就活への利用が可能になると聞きましたが、就活のあり方も変化しそうですね。

神様:政府は6月13日に学生のインターンシップについての新たな方針を公表しました。それによると、令和5年度以降に実施するインターンシップについて、企業側であらかじめ広報活動・採用選考活動に活用することを公表すれば学生の情報を利用することが可能となります。

T:学生にとっては、より実務的な能力を見られるインターンシップに参加することがさらに重要になりそうです。どのような能力を持った学生がどのようなインターンシップに参加するかを決める点も重要ですね。

神様:まさに、学生と企業をつなげる役割が重要になると思います。今後はそういった、学生と企業をつなげる就活サービスを提供する企業の活躍にも期待できるでしょう。

T:たくさんの学生が、希望する企業で活躍できることを期待したいですね。

(この項終わり。次回7/20「世界的なインフレ進む インフレ下で競争力を発揮する企業とは?」掲載予定)

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